紫万が前に向き直ったので、ちらりと隣を見てみた。

「!!」


神宮くんはこっちを向いて、

優しそうな表情でこっちを見ていたのだ。

作られた顔じゃなくて、心からの表情に見えた。


そういう表情の方が、ずっとかっこいい。


ふいに、神宮くんはニヤッと口元を上げる。

そして、

『ば』『か』

そう、口パクで言ってきた…

っだ…

「だれがばかよばかーーーっ!!」

気付いたらそう叫んでいた。