「ありがと。本当に上手かった、びっくりー」
翔子は明るくそうお礼を言うと、猫みたいにううーんと伸び上がった。
その部屋着に包まれた体のラインをつい目で追ってしまった自分に気付いた。
「うん?」
反応がない俺が気になったのか、翔子が目を瞬いた。俺は急いで乾いていた口を湿らせる。
「・・・いや、何でも」
そしてその場から逃げた。
洗面所にドライヤーを直しながら、壁をどつきたい衝動に駆られる。いや、自分の部屋だったらドカンとやってしまっていたかもしれない。
――――――――何、欲情してんだよ!!俺は!!
ため息をついて瞼を強く抑えた。
・・・危ない・・・。翔子は大事な友達だろ。一体なに考えてるんだよ・・・。今までなかったのに、どうして今晩はこんなに翔子のことを女として意識したんだろう。
プライベートのマジックだな。
付き合った女性たちの、プライベートなところを見れたらいつでも嬉しかったことを思い出した。
スッピンが残念な彼女もいるにはいたが、みんなプライベートではリラックスしていい笑顔で笑ったものだった。
・・・・翔子の素顔は、可愛かった・・・・。
「・・・・やべー・・・」
つい呟く。
あっちに戻るまでにもう少し落ち着かないと。
でも無駄に時間を潰すと様子を見に来られてしまうし・・。



