run and hide



「・・・いや、俺お茶でいい。取ってくる」

 台所でお茶をつぎ、私にビールを運んでくる。

「・・・ありがと」

 取り合えず受け取って御礼を言う。・・・・何だこいつ。いきなりのノリの悪さじゃない?せっかくこっちが打ち解け態度で接してるのに。

「もう服終わったかな」

 ぼそりと正輝が言うから、時計を見て頷いた。

「終わってると思うよ。着る?皺だらけだと思うけど・・・」

 正輝は窓を指さして言った。

「いいよ。どうせ帰りまた濡れるだろ、この雨なら」

 TVの音で雨風の音が消されていたし、人と一緒に温かいご飯を食べていたのですっかり忘れていた。外はまだ、大嵐だったのだ。

「そうか。じゃあ出してくるね」

 乾燥機からホカホカの正輝の服一式を取り出す。やつも後ろからついてきたので、狭い洗面所でお互いに身を細めてすれ違った。

 どうしても腕や肩がぶつかってしまって、うわあ~と思った。

 居間に逃げて赤くなってしまっただろう顔を両手ではたく。

 ・・・・お腹が落ち着いたからか、それに多少ビールの酔いも手伝って、恋愛感情がムクムクと湧き出した感じだ・・・。

 いーち、外は豪雨 (→故に、密室)

 にー、成年男女が一つ屋根の下 (→しかも、女は男に惚れてる)

 さーん、お風呂上り (→つまり、いつでもアレが出来る綺麗な体)

 しー、食事も済んだ (→性欲を邪魔する食欲は処理完了)

 指を折って、理由を考えた。