run and hide



 シャワーをダイナミックに被りながら、頭の中ではさっきの正輝がちらつく。

 私にはぶかぶかのTシャツが、ぴったりだった・・・。整えてない髪があんなにぐっとくるものだとは知らなかった・・・。無防備な表情で・・・。お湯であたたまって上気した顔。なんて・・・ラブリーな・・・。

 ダメだったらー!!!

 石鹸で頭をはたく。その勢いで浴室でも滑って転びそうになり、一人で暴れていた。

 何なのよ、今晩は!こんなに同じ方法で命かけることないってーの!いい加減落ち着けよ、私!!

 もうほとんど残ってなんかなかったけど、化粧をちゃんと落として全身洗い、やっと体が温まって浴室から出た。

 ・・・・ああ。お腹空いて、水の攻撃ばっかで、もうフラフラじゃん。一人で暴れすぎて、それも疲れた・・・。マジで不毛な女かも、私。

 タオルで拭いて化粧水だけつけて、また部屋着を着てから今度は動揺しないようにと覚悟を決め、ゆっくりと居間に戻る。

 正輝はテレビをつけて、ソファーに座っていた。

「・・・・コーヒー飲んだ?」

 声をかけつつ台所に入ったら、おう、ありがとう、と返答が帰ってきた。照れくさいからシンクで立ったままコーヒーを飲んでいると、テレビを消して正輝がやってきた。

「腹減ってるだろ?勝手にご飯頼んだけど」

 手にはピザ屋のチラシを持っていた。

「・・・助かる。今日お昼もちゃんと取れてなかったから、実は餓死寸前で」

 有難さについいつもの調子で答えてしまった。思わずほころんだ笑顔つきで。