口の中にも雨が流れ込んで、苦労しながら爆笑した。

 この雨の中何としても外に出なくてはならなかった人たちが、こいつら何してんだろうって顔で見ながら通り過ぎていく。

 しばらく手を叩いて散々バカ笑いをした後、体が冷えだしたことに気付いてやっとヨタヨタと散らばった荷物を集めた。

 ずぶぬれのままで取り合えずと私の部屋に駆け込む。

 もう最後はヒールも脱いでそのまま歩いたから、ストッキングは破れてぼろぼろになり、それがまた可笑しくて玄関先で座り込んで笑った。

 笑いの発作のまま居間にあがり、それからずぶ濡れの正輝を浴室へ案内する。

「先シャワー浴びて。正輝の方が早いでしょう」

 やっと笑いの発作を退治してからテキパキと指示をして、彼を浴室へ押し込んだ。実家から持ってきて寝巻きに使っている男物のTシャツとゴムが伸びてぶかぶかではけないスウェットのズボン(多分、男性なら大丈夫)、バスタオルも放り込む。

 私は重くなって張り付くスーツも服も脱いで、タオルで一通り拭いてから部屋着に着替え、鞄やその他の処理をした。

 ・・・・あーあ。書類も全部台無しだ。良かった、今日大切な仕事は持って帰ってないで。どうでもいいものばっかで。代えがきくメモ程度のものばっかりだったので、全部ゴミ箱に突っ込んだ。

 ハンドタオルに包まれた形になっていたのが幸いして、携帯だけは無事だった。あ~・・・助かった。これないと仕事にならない。これは、充電器にセット。

 お湯を沸かしてコーヒーの支度をする。

 バタバタと動いていたら、正輝が上がってきた。