「日本の文化が美しいものですか。政略結婚で家を、家督を守っていくだけの、血だけが大事なこの文化が!」

「お嬢さん?」

「私が意志のない結婚をしても、それは私が悪いわけじゃない。私の意志が要らないこの世界が悪いんだわ!」

 めそめそ泣き、袖が重くなった気がしていた。化粧もぐちゃぐちゃで、せっかく日本の文化に興味を持っているこの外国人には醜く映ったかもしれない。
 ブランド品に身を包む、この上品な男に、少なくとも理解なんてされないと思っていたから。