目の前が真っ赤になった

「………っ!!!!」

そう思ったときには激しい痛みが襲ってきた

何が起きたかわかんなかった

だんだん赤が霞んできた

火傷のような痛みが消えてきた

「…奏音?」

「!?お姉ちゃんどこにいるの?」

キョロキョロと辺りを見回すが黒、黒、黒

どこか暗い場所に落ちたのだろうか?

でも、今は朝

いくらなんでも真っ暗なんて…

誘拐された…?

「………奏音。お姉ちゃんは目の前にいるよ。」

優しい声と共に身体からなぜか冷たい体温が伝わってくる

…お姉ちゃんが抱き締めてくれてる

「奏音、よく聞いて」

うん、けど一つ質問していい?

「いいよ」

ママはどこにいるの?

「…ママは死んじゃった」

さっきと比べ幾分も暗いトーンで静かに答えた

「!!…パ、パパは?」

怖くて声が震えた

私は賢いとよく言われた

だからこそ、予想してしまった

「……パパも…死んじゃった」

頭が真っ白になった

「いやあぁぁぁっ!!!!!!!!」

なにも考えたくなかった

「違うっ!!ママは死んでない!!パパも死んでない!!」

嘘だと言ってほしかった

「嘘よ!だって、お姉ちゃん生きてるもの!きっとパパとママだって生きてる!!!」

ただひたすらに

『死んだ』という事実を認めたくなかった

「嘘じゃない。受け入れて…奏音。それにお姉ちゃんも死んじゃった。」

鈍器で殴られたような衝撃だった

心が壊れそう

私は倒れた

感覚がなくとも頬には大粒の涙が溢れていたのがわかった

「奏音、元気でね…。今までありがとう、さよなら。大好きだったよ…。」






交通事故だった

飲酒運転による不運な

その場には無表情な少女が一人生きていた