「奏音ー!置いてくよー!」

私は藤堂奏音

4月10日の今日で十歳になる

「待って!お姉ちゃん!」

実は私の家、裕福じゃなくて少し貧乏

だから、あんまり贅沢が出来ないし、親は朝から夜まで共働き

家にはいつも私と二つ上のお姉ちゃん、二人だけ

けど、今日は私の誕生日だからって、家族みんなで遊園地にお出かけ!

凄く嬉しい!!

軽い足どりで私は白い自家用車に乗った


「ママー、私ね!遊園地ついたらお化け屋敷行きたい!!」

これはずっと前から思ってたこと

今までお化け屋敷に入ったことがなかったし、なにより陰陽道や霊感、怪談とかそんな摩訶不思議な事に興味を持ってたから

小説やテレビ、アニメ、全てそうゆう類いのものばかり

別に怖いものが平気ってわけじゃないけど、見てて自分も使えたら…なんて、淡い希望があったりして恐怖よりも興味が上回る

「ふふ、いいわよ。奏音は本当に怖いものが好きねぇ。歌音なんて、ビビりだからお化け屋敷で迷子になってそうよ」

ママの台詞にお姉ちゃんは図星だったらしく拗ねてしまった

本人はポーカーフェイスと自称してるが、口を尖らせていて、いかにも拗ねてます!というお姉ちゃんにはポーカーフェイスの欠片もないと思う

まあ、突っ込むと怒られるし、機嫌も悪くなるので、それは心に留めておく

「………!お姉ちゃん、あれ海だよ!」

私の言葉を聞いて無言で身体を窓側へ近づけるお姉ちゃん

先ほどの表情はどこへ行ったのか頬がピンクにもなりそうなくらいにニッコリ笑顔

窓からのぞくとガードレールを越えた先にある青く広がる景色の水平線を二人はジッと見えなくなるまで見つめていた

すると、ピカッと何か光ったと思ったら…