彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「おい・・・何の真似だ?」



真横に単車を止めていた貝原が聞いてくる。



「あぶねぇーって、オメーどういう意味だ?」



そう言って周囲を見渡す貝原。

それは他のヤンキー達も同じだった。



「なんかあるのか?」

「なんもねぇーじゃん!?」

「いつもの緑川交差点だぜ?」



「どういうつもりだ、凛道!?」



そう言って単車から降りると、ガシッと私の肩を掴む煉獄の副総長。



「たわごとで、誤魔化そうってのか!?それとも、ここで俺とタイマンしようってのか!?ギャラリーに公開プレーしてーってことか・・・!?」

「静かにしなさい。」



相手に視線を向けることなく、前を見たまま告げる。



「あんだ、テメー!?」

「騒がなくても、動く時は着ます。」

「なんだと・・・・!?」

「まだ、僕が危ないと言った意味がわかりませんか?」

「・・・・・・・・・どう危ないんだよ?」



少しだけ、声のトーンを下げながら聞いてきたので、旗を持っていない方の手を伸ばす。



「あん?」


トントン。



人差し指で、私の肩を掴んでいる手の甲を叩く。

正確には、優しくツンツンした。





どけてください。




流し目で伝える。

それに貝原は顔をゆがめたけど、はたくようにして私の肩から手を離した。




「あのままでは、全員危なかったから言ったまでです。」

「だから、何がどう危なかったんだよ!?」




腕組みしながら聞く貝原。

その背後で、同じようにじっとしている反凛道蓮同盟。

そんな私達を静かに見守るギャラリー達。

すべての人間の視線が集まる中で言った。






「あれです。」

「どれだ?」

「あれ。」





指さしながら夜空を指し示す。

途端に、貝原をはじめとした全員の表情が変わる。





「おま・・・あれって!?」

「そうです。」




貝原や他の誰かが言う前に言った。





「信号が赤です。止まらないと、危ないでしょう?」


「「「「「そんな理由ぅうううううううううううううううううううううう!?」」」」」




〔★凛の危ないに、ゾッキーも一般人も絶句した★〕