彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「そうそう、その通り!あそこはロクでもねぇからな。悪のゴレンジャーだからな~」

「初代のことじゃないです!」



廊下に俺達の足音と声が響く。




「『初代じゃない』、だぁ?」




岩倉の言葉に、足を止めて振りかえる。

奴は、赤く染まった顔で手にしていた書類を見せる。



「見てください!以前、解散させた暴走族グループ『毒蝮』のメンバーの証言です。」

「あ?オメー、こんなもん用意したのか?」

「彼らが言うには、自分達は『龍星軍の4代目総長の罠で、警察に売られた!』と言ってるんですよ!?」

「ばっかじゃねぇーの?あいつら今まで散々、他の族を売り飛ばしてるぜ~!?テメーらがしてきたことを棚に上げて、なにおまわりさんに泣きついてんだよ?」

「茶化さないでください!!」



吐き捨てながら言えば、気に入らない顔で岩倉は食って掛かる。



「どちらにも言い分はありますが、暴走迷惑行為をしてる奴らを、のさばらせておくわけにはいきません!」

「じゃあいいだろう?毒蝮、解散させたんだから。」

「まだ、『龍星軍』が残ってます!」



仕事場の前まで戻った時、興奮気味に岩倉が言いだした。



「更生できる子達は更生させるべきです!」

「おいおい、なに熱くなって~」

「フジバラさんは冷えすぎです!!」



俺の前に立ちはだかり、無理やり話を聞かせるように口を開いた。





「普通の不良なら、自分達もそこまで気にしません!しかし、龍星軍のメンバーとなれば、生易しいことは言えません!あそこは、少年犯罪の中でも殺人が絡んでるチームですよ!?」



さつじん。




―バラさ~ん!―

―おじさん!―




岩倉の言葉で、俺の中に2人のガキが浮かぶ。

出会った時期も、関わった時間も全く違う。

死んでるガキと、生きてるガキ。




「その犯罪組織が復活したとなれば、どれだけ治安が悪化してるかお分かりですか!?フジバラさんの態度は、職務怠慢と誤解されても仕方ないんですよ!?そもそも、殺人の前例がある暴走族チームを、野放しに――――――――!?」

「―――――――覚えとけ。」



ガッ!!ドンっ!!



「かはっ!?」




あいつらの顔が浮かんで消えた時、岩倉の首を掴んで壁に叩きつけていた。



今流行りの壁ドンってやつだ。



〔★それは壁ドンとは言わない★〕