「これって・・・・・・・・仕方ないのかな。」
悪くなることは覚悟してた。
瑞希お兄ちゃんに好かれればいい。
彼が卒業したヤンキーの世界に、瑞希お兄ちゃんがカムバックしなければいいのだ。
瑞希お兄ちゃんは、バリスタを目指して勉強してる。
二度と、ヤンキーなんかしたくないはず。
彼が前に進むための妨げになるなら、私が喜んで刈り取ってあげる。
(そうだよ!瑞希お兄ちゃんのことを思えば、これっていいとしてんだよ!私だって、彼の側に入れて、良い思い出来るんだもん!)
―凛、大好きだ―
そう思った瞬間、初めての口づけの記憶がリプレイした。
「っ・・・・・・・・きゃあああああああああああああ!!何考えてるのよぉ~~~~~!!?」
蕩けるような甘い記憶に、今は駄目だと首を振る。
浮かんだ映像をシャットダウンする。
「とにかく!絶対、完走してやるっ!!」
気分を切り替え、運転に集中する。
周りの景色は緑へと変わっていた。
「・・・・この辺りは建物が少ないなー・・・・人もいなくて寂しい。」
先ほどよりも外灯が増え、道も整備されていた。
道路に面してお店が立っているけど、すべて閉まっている。
開いているのは、セルフサービスのガソリンスタンドぐらい。
広い敷地とまぶしい光が、さらに寂しさを強調した。
(ガソリンは・・・・出る前に、烈司さんが補充してきたって言ってたから大丈夫。)
実際、メーターの数値は満たされていた。
今夜走る分には問題がないように、満タンにしてくれていた。
「とは言っても、先はまだまだ長い。」
関わらないようにしよう!
いちいち、相手にしてるのも疲れるもん!
(これ以上、変なのに会いませんように!)
「誰かに声かけられても無視して行こう!」
そう決意した時だった。
パッパァー!
「「凛道蓮さーん!」」
「はい?」
赤信号で止まっている私を呼ぶ声。
(あ、しまった!)
思わず返事をして後悔する。
同時に、あれ?と思う。
パッパッー!!
「凛道君っ!!」
考える前に、見覚えのあるブルーの車が私の隣で急停止する。
「「探しましたよ、凛道蓮さん!」」
「あ。さっきの二人組君。」
車の窓から顔を出しながら言うのがタカオ、運転席側から顔をのぞかせているのがトモオ。
タカ&トモコンビだった。


