彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





変に自信に満ちた表情で、私に向かって言ってくる。




「この数相手に、タンカ切ったのはテメーだぞ!?後で親からも慰謝料請求するからな!」

「いいですよ。請求できれば、ね。」


「兄ちゃん無茶はやめろ!ここは俺が――――――!!」



「あなたは良い人です。」




なんか言おうとするおっちゃんを、手で制す。

おっちゃんから一歩離れ、背を向けながら伝えた。




「見知らぬ僕に、親切にしてくれた方です。受けた恩には報いねばなりません。」

「恩って、兄ちゃん・・・・!?」

「なによりも。」





両手をポケットに入れながら言った。







「いきなり殴ってきたことが――――――――――――許せない。」







ギロッと緑の特攻服の奴をニラんでから、カチューシャ男へと視線を移す。




「ケジメをつけてもらおうか?先にお前が、この人に謝りな。」

「なにぃ?」

「その次がお前だ、緑の。帰るみたいにへばった頭下げてもらうぞ。」

「ああ!誰見てもの言ってんだガキ!!」




最初にからんで来たカチューシャを見たまま殴ってきた奴に言えば、またうるさい声で汚い単語を発する。




「謝れるよなぁ?」




きっと謝らないとわかっていた。

奇跡が起きない限り、お詫びなんかしない。




「だ~れが、するかぁー?ばぁーかっ!」



「ぎゃはははは!」

「あははは!」

「ホント、イカレてるぜ、あいつ~!」




憎らしい言葉と一緒に、副音声(ふくおんせい)もついてくる。

それが合図だった。




「カウント開始。」





(相手がその気なら、私も引き下がるつもりはない。)



そんな思いを込めて言った。




「1。」



「ははははは!こいつ、マジで数えてやんの~?」

「最後まで聞く?どうするー?」




「10。」



「「「「って、はぇーよっ!!?」」」」




私のカウントに、意外と早い反応が返ってくる。




〔★反応ではなく、総ツッコミである★〕