彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「くっ、兄ちゃん!俺のことはいいから、早くバイクで逃げ――――――」


「10だ。」



不利な状況に、おっちゃんが私を逃がそうとする。

あえて、その言葉をさえぎり、私をかばおうとするおっちゃんを背後に隠す。




「兄ちゃん!?」

「なんだやる気かー!?」

「10だよ?」




単車のスタンドを立てて、私達を取り囲むヤンキー達をニラミながら言う。



「ああん?なにが10だってんだー?」




それをわざわざ聞き返してきたカチューシャ男に、私は静かに告げた。





「お前らが懺悔(ざんげ)するか考える時間だ。」

「懺悔だぁ!?」





私の言葉に、周りがさらにざわめきながら注目してくる。

遠くから眺めていたヤンキー達も、ぞろぞろと近づいてくる。



「オイオイ、面白くなってんじゃん?」

「なにをどうすんだよ~?」



それを理解した上で、手にしていたポールを単車に立てかける。

同時に、バイクの鍵をはずしながら言った。




「『俺』が10数える間に、おっちゃんに謝罪をして、おっちゃんの友達に怪我させた馬鹿を探すと誓え。さもなくば、この場の全員に怪我してもらう。」

「はあ~?お前、あたまおかしいじゃないのー?」

「きゃははは!無理してる~こわーい!女はどうすんの?」

「あたしら女子に、暴力振るうのぉ~?」



「女は割る。」

「「「わるぅ!?」」」



「携帯の液晶画面を叩き割る。そっちに怪我してもらう。」


「怪我じゃなくて、再起不能じゃんか!?使えなくなるだろう!?」

「なにこいつ~!?ムカつく!」

「ばかでじゃんかー!?松田、やっちゃいなよ!」




一番平和的な案を述べれば、ヤンキーガールが怒りだす。

その様子を見て思う。

こういうところが、普通の女子と変わらないな、と。




「上等だ!さっさと、10カウントしやがれ、チビ助!」

「いいんですか?」




女子の声援を受け、やる気を出した男に再確認する。



「後悔するのは、オメーだクソガキ!やれよ!!」



それに連中はあっさりと同意した。