彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




壊されたブレスレットの破片を握りしめる。

宝物を握った手を、何度も振り上げて降ろした。






「ぶっコロスっ!!」

「ひぃいい!?」






逃げる奴らを捕まえて、急所を狙って血に染める。

騒がしくなる周囲。

自分が何をしているのかさえ、わからない。







(瑞希お兄ちゃん!瑞希お兄ちゃん!)





ごめんなさい!

ブレスレット壊して、ごめんなさい!

もうこんなことしないから!

何とか直してみせるから!

だからお願い!!








「・・・・・・・・・きらいにならないでぇ・・・・・・・」








めちゃくちゃになった気持ち。

考えるのは瑞希お兄ちゃんのことばかり。

会えないジレンマ。



それを、鼻血を拭いて倒れた相手へ、拳を作って振り下ろす。






「ああああああああああああーーーーー!!」


(瑞希お兄ちゃん!!)





アイタイ!


アイタイ!!





アワセテ・・・・・・!!










「やめろっ!!」









そんな声と共に、体が宙に浮く。






「あ・・・!?」





抱き上げられたと思った時、覚えのある香りがした。








「もうやめろ!!オメーの勝ちだ!!」






そう言って、背後からかかる言葉。







(この声は・・・・・!?)







こわばる体。

恐る恐る、私を抱き上げている人物を見る。

振り返る。

覚えのあるシルエット。







「あ・・・・・・!?」


「気持ちはわかるが、そこまでする必要ないだろう!?勝負はついた。それで納得しろ・・・!」







大きな瞳に綺麗な肌。

優しくも厳しい顔つき。







(瑞希お兄ちゃん・・・・!?)







変わらない綺麗な顔。

お姉さんみたいなお兄さん。

大人の男にはなっていたが、面影は残っていた。











「おい、聞いてんのか!?お前―――――――――」


「お兄ちゃん。」











かすれる声で、名を呼ぶ。

これにお兄ちゃんは、片眉を吊り上げる。











「『お兄ちゃん』・・・?」


「お・・・お兄ちゃん!瑞希お兄ちゃん!!」









確かめるように名を呼んで、その体に触れる。


私の方から触る。











「瑞希お兄ちゃん!!」










6年前に出会い、6年間探していた人だった。