彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「つーことで、気合入れてくれよな。今夜、凛が総長デビューすること、世間は知らねぇ。公表もしてねぇからな。」

「はい。こっそり、頑張ります。」

「油断はすんなよ?こっちが内緒にしてても、勘の鋭い奴や俺らを見張ってる連中なら、気づいてるかもしれねぇーけどなよ。」

「え!?まだ、監視されてるんですか!?」



「案ずるな。それは片づけておいた。」

「伊織!」





私の問いに返事をしたのは、眼鏡が似合うキツめの美形。

タプレットをしまいながら、私達へと近づいてくる。




「人数が多ければ、有利というわけではない。人数が多い=仲間も多いという安心感から、油断して負けるというのが集団心理の欠点だ。」

「獅子島さん。」

「凛道。今夜は肌寒い。特服の上にこれを羽織れ。」

「あ。」




そう言って渡されたのは黒色のジャケット。




「これ・・・トレーニングジャケットですか?」

「わかってるじゃないか。」




私の言葉に、眼鏡のブリッジ部分をクイッと上げて直しながら言った。




「それは量産品でどこでも買える代物。意味はわかるな?」

「・・・・お値段が安いので、獅子島さんにお支払いするトレーニングジャケット代も私の負担にならなくて済むということですか?」

「そうではない。」



ゴスン!


「痛い!?」




どこからか出したのか、ハードカバーの本で頭を叩かれる。




「い、痛かったよぉ~」

「大丈夫か、凛!?なにしやがる、伊織!」

「過保護はやめろ、瑞希。」




痛がる私と、そんな私を心配する瑞希お兄ちゃんに、ため息交じりで獅子島さんは言う。




「俺もお前からは金など取らんぞ、凛道。俺は未成年にたかるほど、困ってはいない。」

「で、では、どういった理由で??」

「お前は鈍くて馬鹿なので、あえて口にしよう。たくさん作られて出回っている商品は、誰が買ったかわからない。特に、大量生産で安い値段で流通している商品は、シリアルナンバーの入っている高級品よりも、購入者の特定が難しい。」


「・・・?つまり??」

「つまり、そのジャケットを武器として使用すればいいということだ。」


「ぶ、武器!?」

「どういう理屈だよ!?」




〔★衝撃的な答えだった★〕