彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「円城寺君は、カンナさんが大事な仲間だからって、彼女を守るためにお前らの言いなりになろうとした!それは、大事な友達だから失いたくないって思ったからだ!!」



円城寺君達の話を口にしながら、私はごまかした。


私が闘っている理由をすり替えた。


武術を使う上で、感情で戦うことは禁止されていた。



それを使うために、壊された宝物の『復讐』をするために。





「大事なものを失う気持ちがわからない奴は強くなれない!!お前は、絶対に、後継者にはふさわしくないっ!!!円城寺君達の方がずっとずっと立派だぁ!!!」





怒っている理由をすり替えて、暴力をふるった。






「わかったかっ!!?」






言い聞かせるように、教えるように、首を絞めていた手を動かす。

男の方へと移動させて、関節をひねった。






「うっ・・・・・・ぎゃああああああああああああああ!?」





相手の利き手の関節をはずした。





「あううう!?あううう、うあああ!!」

「うるさい。」




痛みで悶絶する庄倉。

蹴ってきた足を離し、もう一度両手で首を締め上げる。





「うるさい、うるさい、うるさい。」

「ひっ、ひいい!やめて・・・たすけて・・・!」

「たすけない。」





許しを請う相手に言った。






「お前は許さない、庄倉愛雄。」






お前は、してはいけないことをした。







「お前は壊した。」




私のブレスレッドを。








「お前はやりすぎた。」




瑞希お兄ちゃんから預かったお守りのブレスレッド。





(私の宝物を、めちゃくちゃに壊した。)




「恩赦は出ない。」






ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイーーーーー!!






「ひっい・・・!や、やめろ・・・!もう、しないから・・・!」

「今さら遅いっ!!」






その物言いが癪に障った。

だから、ギリギリと締め上げながら言った。







「もう元には戻らない・・・許さない・・・・!!」







護身術の先生が言っていた。

人間の首部分では、しめては危ない場所があるって。

やったことはないけど、間違えてかけそうになったときに注意された。

だから、よく覚えていた。

その場所を押さえ続けた。





「がっ・・・がっ・・・!!」





相手が痙攣し、口から唾液を流し始める。

目からも水がこぼれ、鼻水まで出ている。









「きたない。」








それを見た瞬間、気持ちが覚めた。

思ったことを口にしながら、拘束を解いた。

庄倉は、あっさりと地面に顔をつけた。









「嘘だろう・・・・?」

「・・・あの庄倉さんが・・・!?」

「・・・・負けた?」







誰の声かはわからない。

ただ、体を起こした時、周りの空気が凍てついてるのを感じた。