「悪夢?凛たん、悪い夢見たのか?それはよくねぇーな。」
「烈司さん?」
百鬼への嫌味に、なぜか烈司さんが反応する。
そして彼は、私の隣にいる瑞希お兄ちゃんに声をかけた。
「瑞希、凛たん、うなされてたのか?」
「え?ああ・・・えれー苦しそうだったから。」
「ふーん・・・」
そう言うと、私の前までやってくる烈司さん。
「凛たん、ちょっと顔見せて。」
「え?」
「ああ、シルキロールは、つけたままでいいから。」
真面目な顔で言うと、私の頬に手を当てる。
(?なに・・・?)
ジッと私を見つめてから、頬から手を離す。
「まぁ・・・そんなもんか。」
「・・・?」
1人で納得したように言うと、烈司さんは言った。
「凛たん。」
「はい?」
「4代目になるお祝い。」
「え?」
「お守りだ。」
そう言って、私の手を取る烈司さん。
瑞希お兄ちゃんとは違う、厚みのある手が手首に触れる。
「はい、プレゼント。」
「ブレスレット・・・・?」
烈司さんの手が離れた腕にあったのは、球体が連なって円を作っているアクセサリー。
青色系で統一されていた。
「キレー・・・・!宝石ですか?」
「天然石だ。」
「天然石?」
「そうそう、パワーストーンってやつ。」
私の疑問に、含み笑いをしながら烈司さんは言う。
「この黒い石が『オニキス』で、青空みたいな色の石が『ターコイズ』。ターコイズよりも濃い目の青が『ラピスラズリ』で、エメラルド色が『マラカイト』。透明な石が『水晶』だ。」
色と大きさの違う石達を、1つ1つ指さしながら教えてくれる烈司さん。
「へぇ~いっぱいあるんですね~」
「みんな、魔よけとして効果的だ。水晶と組み合わせることで、浄化作用が高まってより効果で出る。」
「そうなんですか!?知りませんでした。」
「じゃあ、覚えときな。今日からみんな、凛たんを悪いものから守ってくれるからよ。」
「え!?僕を?」
その烈司さんの言葉で、まさかと思う。


