彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




自分でも、どういう動きをしたのかわからない。

体格的に不利だったので、私より背の高い相手との視線を合わせるため、庄倉に拳を向けた。

無言で叩きこんだ。





「ぎゃ!?」




下から、首を狙って一突きする。






「ぐえぇえ!!」



「な、」

「なに!?」





私の攻撃に、庄倉が固まる。

円城寺君と百鬼の表情が変わったかもしれない。








「殺す。」








驚く対戦相手と外野をよそに、もう一度そう告げて両手で拳を作る。

両方の中指の第二関節を突き出すように握り直すと、その突起した部分を庄倉の左右の眉間に叩き込んだ。





「うぎゃあ!?」





それで体を後ろへとのけぞらせたので、





「―――――――――ふん!」

「げふっ!?」





みぞおちを蹴り飛ばして、仰向けに倒した。








「お~まぁ~えぇ~・・・・!」







恨みを込めて、声を絞り出す。




「いっ!?」




それに庄倉はギョッとしていた。

その姿をロックオンしてからつぶやく。







「殺す・・・」






3度目の宣告。

見開いた目で、敵を見据えながら言った。







「殺す殺すお前ぇぇぇぇ!!!!」

「う、うわぁあ!?」







私の声に驚き、慌てて起き上ってきた庄倉に向け、片足を地面から離す。






「―――――――――らああ!!」

「ぎゃ!?」





右か左かわからなかったが、座り込んで、私よりも目線が下の男を蹴った。




「ぎゃわっ!?」





横っ面をを強く蹴った。

それで痛がり、顔をしかめる姿に腹立たしさが増した。

だから、思いっきり思いのたけをぶつけた。








「『理由ができればいい』だぁ!!?」






サッカーボールをけるように、今度は額を蹴る。




「ぶあ!?」




それで勢いよく、再び地面へと倒れる。

そうやって寝ころんだところを狙って、相手の首を踏みつけた。






「げえ!?」


「理由ができればタイマンができるだぁ!?」

「げっ・・・ぐえ!」



「タイマンがしたいから、理由を作るだぁ!?」

「やめ、ろ・・・!」





「そのために、私の宝物を壊したのかぁぁぁぁ!!?」





完全に、頭に血が上っていた。




よくも!よくも!!


瑞希お兄ちゃんとの思い出の品を!!

ツラい時、悲しい時、淋しい時!!

いつも眺めて大事にしてた!






(私の心の支えでもあったウサギを――――――――――――――――――!!)




「あああああああ!!うああああああああああ!!!!」







こいつは笑って壊した。





(だから今度は、私が壊してやる!!)





その思いで、足で滅多打ちにした。





「ぐえう!ま、まて・・・!待てよ・・・!」

「そうなのか!?そんな理由で壊したのか!?ブレスレッドを壊したのかぁー!?」




休みなく、連打で踏み続ける。

蛙のように鳴く男。

両手を伸ばして起き上がろうとしたから、どいてあげた。





「よ、よくも!」





それで、何か言いながら起き上ったから、足を払ってもう一度転がした。





「うお!?」





今度はうつ伏せだったから、後ろ頭を蹴り飛ばしてやった。