彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「布??」

「シルキロールだ。」




手にしたのは巨大サイズのリストバンドのようなもの。




「凛、俺らといる時も、寝る時も・・・バンダナまいて苦しそうにしてそうだからよー・・・今も、もうなされてたし。」

「あ、あれは、変な夢を見ただけで~バンダナが原因では~」

「そうじゃないって思ってるのは、本人だけだ。これ、寝る時も使えるんだぜ?正式名称は『乾燥ガードおやすみシルキーロール』ってんだ。」

「乾燥ガード!?」

(おやすみって、寝具なのこれ!?)




〔★ツッコミどころ満載だった★〕




「ほら、ここに穴が二か所ついてるだろう?耳を入れる場所だ。つけてみな!」

「は、はあ・・・・」




言われるがまま、装着する。




「あれ・・・・これの方が、息苦しくない・・・?」

「だろう!?そうだろう!」




私の反応に喜ぶ瑞希お兄ちゃん。




「喧嘩の基本は呼吸の調えだからよ!バンダナやマスクだと、ズレやすいだろう!?これ、バッチリだろう!?」

「はい・・・!これなら、使いやすいです!」

「気に入ったか?」

「はい!ありがとうございます、瑞希お兄ちゃん!」




ぱあと輝く顔で言えば、同じように笑ってから瑞希お兄ちゃんは言う。




「凛さー・・・その敬語はいいからな?」

「え?」

「俺にまで、敬語使わなくていいからな?昔みたいに・・・気軽に話しかければいいんだぞ?」

「え?でも、族の世界は、上下関係が厳しいと~」

「族の時は、それでいい。けど、俺といる時は、ただの凛道蓮でいいんだ。」

「お兄ちゃん・・・」

「普通の瑞希と凛でいいじゃんか?オメーは俺の弟なんだからさ?」




そうつむぐ言葉は特別なもの。

きっと、私にしか言ってないであろう言葉。





「ありがとう・・・瑞希お兄ちゃん・・・・」

「いいんだよ、凛。そんじゃあ~俺の弟から、4代目の凛道蓮に代わろうか?」

「はいっ!」





少年のように言う大人に、私はうなずく。

楽しそうに笑う彼に、私もつられて笑った。