彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



回想し終えたところで思う。




(百鬼め・・・あいつ、覚えてろ・・・・!)



〔★凛は皇助に、仕返しを誓った★〕




ファーストコンタクトからよくなかったけど、痛い思いをして、さらに印象が悪くなる。




「凛、大丈夫か?腹、痛いか?」

「え!?いや、その、大丈夫ですよ~!」




野獣のおかげでムカムカしていたけど、気遣うように私に聞く瑞希お兄ちゃんのおかげで気持ちも落ち着く。



「おなかではなく、みぞおちですから~平気ですよ?」

「あの馬鹿!ごめんな、凛。なんか飲むか?」

「いえ、大丈夫ですから。それより・・・もう出かける時間ですか?起こしに来てくださったんですよね?」

「いや・・・まだ時間あるけど・・・凛が気になってな。」

(私が気になる・・・・)


「そ、そうでしたか!嬉しいです・・・」

「ばか、なに赤くなってんだよ。」




そう言って、寝たままの私の頭をなでる瑞希お兄ちゃん。

その眼がじっとわたしを見つめてくる。




「・・・?あの、なにか?」

「いや・・・可愛いのになって、思ってよ。」

「え?」

「俺さ・・・凛が顔を隠すことに、反対はしねぇ。けど、いつかきっと、凛がトラウマを乗り越えるって信じてる。」

「瑞希お兄ちゃん・・・」

「でも今は・・・俺の前だけで、素顔さらしていいからな。リラックスしていい。」

(そんなに私のことを・・・・)


「・・・いいんですか?僕、瑞希お兄ちゃんに甘えても・・・」

「当たり前だろう?凛は、俺柄の弟だから・・・・あ、そうだ!」




とろけそうな言葉を中断させると、ポケットに手を入れる瑞希お兄ちゃん。





「これ、凛にやるよ。」

「え?なんですか・・・?」





そう言いながら、黒い物体を私に差し出す。

それに反応して起き上がり、瑞希お兄ちゃんから『これ』を受け取る。