彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「わははははは!!伊織は意外に心配性で、ツンデレだよなー!!」

「黙れ筋肉細胞!」




笑い飛ばす百鬼さんと、少し赤い顔で怒る獅子島さんに少しだけほっとした。



「つーことで、凛。ルート覚えと、バイクテクで大変かもしれねぇーけど、日の出前にはうちに帰って来いよ?」

「わ、わかりました!」

「1人で大変だと思うが、頑張って走り切るんだぞ?」

「はい!1人で頑張り・・・・!?」

(え?1人?)


「・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・」

「どうした?」

「今・・・・・・・・・・『1人』と言いました?」




まさかと思いながら聞けば、彼はいつもの調子で言う。





「おう!凛1人でデビューすんだぞ?」

「えええええええ!?」

(瑞希お兄ちゃん、一緒じゃないの!?)




「なに叫んでんだ?4代目は、凛1人だけだろう?」

「そ・・・そうですが!てっきり、瑞希お兄ちゃんも一緒だと~」

「あん?なんだそりゃあ?」




言った瞬間、観音様だった顔が鬼に代わる。




「コラ。」

「あう!?」




いきなり胸ぐらを掴まれる。

そのまま引き寄せられ、至近距離でメンチを切る瑞希お兄ちゃん。




「オメーよぉ~舐めてんのか・・・?」

「ええ!?な、なにをですか!?」

(きゃ~!距離近い!でも、怖い!)




嬉しいやら、悲しいやらで慌てていれば、ヤンキー丸出しで瑞希お兄ちゃんは言う。




「オメーは、俺が認めた4代目だぞ・・・!?1人暴走族が怖くて、走れないなんざ、言わないよな・・・・!?」

「い、言いません・・・・!」

「じゃあ、今夜1人で根性入れて走れるな・・・!?」

「走ります。」

「わかりゃいいんだ。」




そう告げると、にっこり笑いながら手を離す瑞希お兄ちゃん。




「凛、ビビることねぇーぞ。お前、やればできる子んだからさ~庄倉から始まり、バラさんを追い返した勢いを今夜みせてくれよな!?」

「はい・・・」




愛しい人に恐怖を感じ、それはそれで快感だと思う私は・・・・変態なんでしょうか?

それでも好きな気持ちは変わらないので、この恋は本物だと思いますが・・・



〔★本気の恋ではあるだろう★〕