彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





閉じていた目を開けるのと、手をつかまれるのは同時だった。



ガシ!

グイッ!



「み、瑞希お兄ちゃん!?」


「帰ろう、凛。」




子供が親に手を引かれるように、お墓の前から連れ出された。




「じゃあな、陽翔。またな。」




2代目にそう言うと、私の手をにぎったまま、歩きはじめる瑞希お兄ちゃん。

その後に、他の先輩達も従う。

スタスタとお墓の中を歩くスピードは、いつもと同じ。

もし、違うところがあるとすれば――――――――――




「あ、あの、もう帰るんですか・・・?」

「変なこと聞くな?あいさつは終わっただろう?」

「そうですけど・・・」

「じゃあ、いいだろう。」


(・・・よくない。)




いつもなら、私の顔を見て話す。

それなのに、彼は私を見ることなく答える。

こちらを向かない。


振り返ろうとしない。




(なんで・・・?)




そんな彼に、急に不安になる。

瑞希お兄ちゃんは前を見たまま、私の方を見ない。

烈司さんやモニカちゃんを見ても、前だけ見て歩いている。

いつものように、私に話しかけてくれない。

というよりも・・・・




(振り返らないようにしてる・・・・?)




百鬼も獅子島さんも、正面を見ている。

横を向かない、よそ見をしない。

振り返らない。



(どうして・・・?)



機械みたいに動く瑞希お兄ちゃんに手を引かれ、出口に向かって歩く。

みんな黙ったままで、誰も何も言わない。

後ろを見ない瑞希お兄ちゃん。

遠くなっていく墓石を、ちらっと見る。

線香の白い煙が上がっていたが、とても寂しく感じる。

悲しく思う。






(――――――――嫌だ!)





なにが嫌なのかわからない。

どう嫌なのか説明できない。

ただ・・・まるで伊吹陽翔とリンクしたみたいに寂しくなる。

置いて行かれる気がして、私もいつか置き去りにされる気がして怖かった。

怖くなってしまい・・・・反射的に、私の手を掴んでいる手にしがみついた。

私から、瑞希お兄ちゃんの腕に飛びついた。

これに瑞希お兄ちゃんは――――――






「振り向くなよ。」

「え?」





そんな私を腕ごと引き寄せてから、ぼそりとつぶやく。