「あれ?いつの間に、お花を供えたんですか!?」
善意でもらった菊の花が、慰霊に供えてあった。
「あはははは!凛が大河と話して間に、モニカとな。」
「瑞希お兄ちゃん。」
私の問いに、照れくさそうに答える好きな人。
「凛が俺に、パスしたお花だからよ。キレイにしないとな?」
「そうよ!ブーケトスにしては、ちょっと色っぽくなかったけど、良い感じでしょう~?」
「瑞希お兄ちゃん、モニカちゃん・・・ありがとうございます。」
「コラコラ、凛助!!俺様への礼がないぞ!!?」
「貴様は何をした?俺は、車を運転してるがな?」
「俺は緊急時の運転係&ナビゲーター。」
「あ・・・百鬼さんも、獅子島さんも、烈司さんも、ありがとうございます。」
考えてみれば、いろいろしてもらっていた。
だから、改めてみなさんへお礼を言った。
ここへ連れてきてくださった方々へ。
「今日は本当に、ありがとうございます。瑞希お兄ちゃん達には、感謝してます・・・。」
「・・・感謝してるのは俺らの方だよ。」
会釈しながら言えば、やわらかく笑った瑞希お兄ちゃんが私を手招きする。
「こっちこいよ、凛!俺の隣で、一緒に手ぇ合わせてくれ。」
「は・・・はい!」
彼の言葉が嬉しくて、素早くその横へ移動する。
ニコニコする瑞希お兄ちゃんと視線を合わせてから合唱する。
不謹慎(ふきんしん)だけど、嬉しい気分。
側にいられる幸せ。
(伊吹陽翔さんも・・・同じだったのかな?)
ふと、確信に近い気持ちが芽生える。
なんとなくだけど、伊吹。
陽翔さんのことがわかった。
警察のおじさんも、瑞希お兄ちゃんも、私も・・・・みんな勝手なこと言ったけど。
彼の最期の気持ちは永遠に分からないと思う。
だけど、確実にわかったことが一つだけある。
(あなたも、真田瑞希さんと一緒にいて、嬉しかったんだね。)
恋とか愛とか抜きにして、引かれていたところは私と同じ。
(本当の本当に、好きなんだね・・・。)
それで少しだけ、気持ちのふんぎりがついた。
(・・・・さようなら、伊吹陽翔さん。また、お会いしましょう。)
あの世ではなく、あなたのお墓の前で。
(生き抜いて、絶対に瑞希お兄ちゃんを悲しませるようなことはしません。だから、瑞希お兄ちゃんを見守ってください・・・!)
目をつぶり、2代目に約束する。
願いを込める。
再会を誓い、心の中でお別れの挨拶をした。


