彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)






「おまえぇ~~!!シャレにならねぇーぞ!?」

「だから!怒る相手が違うよー!!」



悪気はない。

ただ、よけているだけ。

それなのに、円城寺君の怒りがますますひどくなる。



〔★マックスに近づいていた★〕




「オメーがその気ならいいぜ・・・!先にお前を壊してやるよ!!オラ、こいや!!」

「はああっ!?」



そう叫びながら急接近すると、強引に腕を伸ばしてきた。




(逃げなきゃ!)




この場合、手を払わなきゃダメだけどー!

その手は、痛々しい生傷がついていた。




(怪我人に、攻撃なんてできないっ!!)




道徳精神の元で学んできた格闘技。

長年の教えが、私の動きを鈍くした。

はたくに近い、払いのける行為を避けた結果―――――――――





「オラ!捕まえた!」

「あっ!?」



私の肩を掴んで、力を込めてきた。





(―――――――――痛いっ!?)





男子にしか出せない馬鹿力による激痛。





「離して!!」

「うお!?」





とっさに、円城寺君の手首を掴んでひねってしまった。

これで勘違いをされてしまった。





「やっと、やる気が出たんかよっ!?」





そう言いながら、ひねっている私の手ごと、私の体を突き飛ばしてきた。





「きゃわっ!?」




突然のことで、受け身が取れず、自転車ごと倒れる。

そこへ覆いかぶさるようにのしかかってくる。

続けざまに、叩かれた。




「調子に乗ってんじゃねぇぞ、ボケ!」

「痛っ!?だ、だからそんなつもりないって!やめてよ!」

「だったら帰れ!目障りなんだよ、クソガキ!邪魔するな!」

「ええ!?何度も言うけど、邪魔してなんかしてなー・・・!」

「それともこの場で、オシャカにされてぇーか!?」

「い!?痛い痛い痛ーい!叩かないでよー!」


「大河!?」

「大河がキレた!」




「おいおい!よさねーか!」





倒れた私を掴み、その体を揺さぶる円城寺君。

仲間二人のブチ切れ宣言に、原因を作った男も動く。

見かねて、私と円城寺君の間に百鬼が止めに入る。

その時、互いの腕がこすれ合い、どっちかの手ともみあいになってーーーー





プチッ!



「あっ!?」




カシャン!コツン、コツン、コッ・・・・




その瞬間。





腕につけていた大切なブレスレッドが飛んだ。