彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





目を点にするヤンキー達の中で、金縛り状態になる私。

固まりながらも、頭の中は冷静に動いていた。






”俺が許す!!お前、円城寺大河の代わりに庄倉愛雄とタイマンしな!”




(タイマン・・・?)



タイマン、タイマン・・・タイマン?




(え?タイマンって・・・ーーー!?)




◆よい子のためのワンポイント解説◆
●タイマン:不良用語で1対1の喧嘩の意味。『一対一』の英語読み『マンツーマン』が変形して省略された言葉のことだよ☆






”お前、(略)タイマンしな。”



「ふっ―――――――――・・・・・!?」





(ふざけるなぁ―――――――――!!)






怒鳴りそうになった言葉を、冷静な感情で飲み込む。

ここで怒れば、さらに問題はややこしくなるだろう。

だから、息を吸ってそのまま飲み込むだけで言葉にしなかったが―――――――――





(なんで私が、戦わなきゃダメなの!!!?)





乏しいヤンキー専門用語を思い出しながら、私は思う。







(なにそれ!?意味わかんなーい!なんで私が、タイマンしなきゃダメなの!?)









私ただの宅配便だし!

配達員じゃん!?

運び屋さん!






(それがよりによって、なんであんな三流悪役と戦えって!?)





私、配達を頼まれただけのただの人!!

初恋のお方探しをしている平凡な一般人!!

そんな子に対して、『タイマンしろ』だぁ!?





(馬鹿じゃないの!?こいつ馬鹿じゃないの!?)




〔★凛は怒りに震えている★〕
〔★その口元は痙攣を始めた★〕





(無関係な私が、『評価=卑怯者』と戦う理由なんてないじゃない!!)





とても、まともな奴が言う台詞ではないと思った。

もちろん、そう感じたのは私だけじゃなかった。




「ええ!?大河の代わりにタイマン!?」

「待ってください!!本気ですか百鬼さん!?」

「なんだよーオメーらの仲間だろう?」

「な、仲間・・・」

「仲間ってのは・・・」


「高千穂カンナの頼みで派遣されたんだろう?」




狼狽する円城寺君の友達らしい2人に、百鬼と名乗った男は言う。






「あの庄倉にぶちかましたうえに、タンカ切れたんだぜ?すげー隠し玉してたじゃねぇかよ?」

「隠し玉って、誤解っすよ!」

「カンナが頼んだってことも、俺ら、詳しく話を聞いてないので~」

「違うのか?決勝前にして、無傷なのはこいつだけだぜ?」

「「いや、それは~!」」



「そういうつもりで残してたんじゃないのか・・・!?」


「「うっ・・・」」





反論を許さない、有無を言わせない発言。

どこまで彼らが、カンナさんと連絡を取っているのかわからない。

今までの流れから、取れていないと考えるのが妥当。

そんな彼らの心中を思えば、私の存在って、意味不明で取扱い不明なのかもしれない。





(だから、はっきり私の存在を否定しない?)




あるいは、私に円城寺君の怪我のひどさに、戦わせたくないという思いがあるのかしら?




(もしかして・・・・私のことを、怪我をした円城寺君の代わりとしてカンナさんが送り込んだとかいう推測でもしてるから『仲間じゃない。違う。』って言えない・・・?)



「どうなんだよ、オメーら!?」






返事を要求する百鬼。

それは私にとっても気になる返事。

集まっている野次馬のヤンキー達も固唾を飲んで見守る。



それに円城寺の仲間は黙るが・・・・








「戦うのは、そいつじゃない。」







2人の代わりに彼が答えた。








「庄倉をやるのは俺だ・・・!!」


「え、円城寺君!」






そんな声を上げながら起き上がったのは、私が自転車でここまで運んだ人物だった。



〔★大河が復活した★〕