彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



なにもないように。

龍星軍4代目総長をする上で、『先代達』が反発しないように。

真田瑞希を慕う『体なき者』が何もしないように。




(瑞希お兄ちゃん、自分をイケニエにして、私の総長成就(そうちょうじょうじゅ)を願ってる!?)


「そん、な・・・・」



そんなことしたら!

万が一にも、伊吹陽翔が聞きいれたりでもしたら!?




「陽翔・・・陽翔がほしいって言うなら、俺の命はくれてやる。その代わり、4代目になる凛は許してくれ。」



(命を取られちゃう!?)


そんな、そんな、そんなの!







「それで、あいこにしようぜ?」


「いやだっ!!!」





淡々とした口調で言う瑞希お兄ちゃんに私は叫んだ。




「いやだ!いやだ!いやだ!いやいやいや!」

「凛!?」

「ダメ!瑞希お兄ちゃんは渡さない!命とか、ダメ!!」




冗談だとは言えない顔で言う瑞希お兄ちゃんに鳥肌が立った。

今の彼なら、本当にそうしてしまいそうで、そうなってもいいと思っているみたいで。




「お願いだから、そんなこと言わないで!!瑞希お兄ちゃん!!」




守りたくて、渡したくなくて、力いっぱい抱き付きながら頼んだ。





「陽翔さんがほしいのは、瑞希お兄ちゃんの命なんかじゃない!瑞希お兄ちゃんとの楽しい時間だったんだよ!?」

「凛・・・!」

「瑞希お兄ちゃん、何もわかってないよ!陽翔さん、瑞希お兄ちゃんの命で、自分の命を弁償してほしいなんて思ってない!」



「会ったこともないくせに、何言いやがる!?」




そう言い返すと、私に向けて、怖い顔で瑞希お兄ちゃんは言う。




「凛、自分でも言ってただろう?本人じゃないのに、周りが勝手に好き勝手言っちゃダメだって?」


「あっ――――――――――・・・・!?」


「まさか、一度口に出した言葉を、否定するようなことはないよな・・・!?」


「っ・・・・!」




自分で言った言葉に、自分で追いつめられる。




「違うのか、凛?」

「それは・・・違わなくない、です・・・」




正しい答えを求められ、嘘が言えるわけもなくて・・・・正直に答えた。