彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「お前はマジでドス黒いんだよ、伊織!凛に変な知恵つけんじゃねぇぞ!?」

「何を言う。凛道を4代目の総長にするならば、自分の身を守るだけでなく、仲間を守る方法を身につけねばいかんだろう?」

「くっ!それは・・・」

「やれやれ・・・本来ならば、お前がする仕事だぞ、瑞希?・・・早く立ち直れ。」



(立ち直れって・・・・)




珍しく、優しい言葉を言う獅子島さん。

それが伊吹陽翔のことを言っていると言うのは、女の勘でわかった。




「ばか野郎・・・・伊織こそ、立ち直れってんだよ。」

「伊織って言うか・・・・・俺らだろう?瑞希?」

「れ、れーじ!」

「れーちゃんの言う通り、みーちゃん。」

「モニカ!」

「失恋と違って、忘れちゃうわけにはいかないもん・・・ホントねー・・・・」

「わははははははは!」



約1名以外、タソガレながら瑞希お兄ちゃんを気遣う先輩達。

そのまま静かになってしまった墓地には、鳥の声が響いた。

誰もなにも言わなくなり、居心地の悪さを感じる。



(私が何か言うべきかな・・・?)



「ヤッパ凛は、俺の見こんだ通りだよ・・・。」

「え?」




迷いながら考えていたら、意外にも、瑞希お兄ちゃんから話を切り出した。




「誰にもわからねぇ本人の気持ちを、好き勝手に言うなとか・・・すっげー心に響いたぜ?」

「瑞希お兄ちゃん・・・。」

「お前、気づいてないかもしんねーけど、俺は凛に再会してからは、驚きの連続だよ。」

「そ、そんなに困らせてますか!?」

「ばか!悪い方に取るなよ!いい意味で言ってるんだ!」

「良い意味・・・・??」

「そうだ。俺じゃあ・・・・気づけなかったことを気づかせてくれた。別の考え方もあるんだなって・・・陽翔のことがそうだよ。」

「伊吹陽翔さんのこと、ですか?」

「ああ、おかげで、気持ちがだいぶ楽になった。」

「え!?」




―楽になった。―




傷つけてしまったかもしれない相手からの嬉しい一言。




「ほ、本当ですか・・・?」

「凛に嘘つくわけないだろう?」




ニコッと笑う姿に、見慣れた瑞希お兄ちゃん。

私に大丈夫だと伝える時の表情だった。




(本当なんだ!)




その顔を見て、私もやっと安心する。




(よかった・・・・・!!)




安心できた。