おじさんは、私の呼びかけに答えてくれた。
「・・・・まだなんかあるのか?」
もう一度振り返った顔を見て、やっぱりと思う。
迷ったけど、伝えた。
「おじさん!!鼻水がたれてるままだよ!!」
「なっ・・・!?」
ずっと気になっていたこと。
私が攻撃して、軍手を脱ぎ捨ててからずっと、彼は鼻みずをぶら下げたままだった。
「は、鼻水だー!?」
「うん!ほら、鼻の下についてる!」
「な、なにぃい!?うっ!?マジか!?」
私の指摘に、赤い顔で鼻の下をぬぐうおじさん。
それでやっと、垂れ流しだったことに気づいたみたい。
「あの!警官という立場もふくめ、ふいた方がいいと思います!!」
「ば、馬鹿野郎!!誰のせいで、たれてると思ってんだバッキャロー!!」
親切で言えば、真っ赤な顔で怒鳴り返される。
同時に、私の周りから笑い声が上がる。
「ぶっ!?わはははは!ホントだ、鼻水がついたまんまだ~!」
「ぎゃはははは!あの顔のまま、街中に戻るつもりだったのかよ~!?」
「やっだぁ~ん!きゃははは!お腹痛い!凛ちゃん優しい~!」
「凛道・・・もう少しで奴は恥をかくところだったというのに・・・くくく!次は教えんでいいぞ・・・!」
「わはははは!!あのフジバラさんが鼻たれー!?ぶはははは!!」
「烈司さん、百鬼さん、モニカちゃん、獅子島さん、瑞希お兄ちゃん!」
目に涙を浮かべ、泣き笑いする瑞希お兄ちゃん達。
(よかった!瑞木希望お兄ちゃんに笑顔がもどった!)
〔★おじさん的にはよくない★〕
これに対して、おじさんは鋭い声で言った。
「うるせぇーぞ!!悪のゴレンジャー共!!オメーら共々、凛道!覚えてやがれよ!このお礼はしっかりさせてもらうからな!?ジャックフロストが!!」
「ええ!?親切で言ったのに怒るの!?」
(逆恨みされた!?)
〔★そうとも言いきれない★〕
私に向かって、クソガキ!!と怒鳴ると、大股で遠ざかっていくおじさん。
先ほどまで、静かに歩いていたハードボイルドぶりが嘘のようだった。
おじさんは、脅しのつもりで言ったみたいだったけど、状況が状況だから全然怖くない。
むしろ、気の毒な思いで見送った。


