彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




突然現れたマスク野郎のおかげで、試合会場は葬儀場のようになった。






「一般人・・・?」


「はい。通りすがりの一般人。それも未成年です。」






俺の問いかけに、相手はやんわりとほほ笑む。





(・・・・なんだこれ・・・・?)





初めてのケースに、対応がわからずに固まる。

それは俺に限らず、集まっている先輩ヤンキーやOBの方々も同じだった。




一方、そんなことなど知らないマスク野郎こと凛は―――――――――







(・・・・そうは言っても、戦うのは私じゃないんだけどね♪)



〔★凛は、呑気に構えていた★〕





(やり遂げた・・・!ヤンキー界の危機を救えたよね・・・?)



〔★凛は、満足感と達成感で満たされていた★〕





自画自賛しつつ、目ん玉をひんむいている男達に笑顔で言った。




「そういうわけですので、円城寺大河君は、約束の時間に間に合いました。なので、私もこれにて失礼します。」

「へ?」

「お、おい!どこへ行くんだ!?」





帰ろうとすれば、背の高い男が聞いてきた。

殺気電話で話した人で、円城寺君達の仲間らしい男子の1人。

面倒くさいと思いながらも、一応は答えた。





「帰るんです。」

「か、帰る!?」

「ここは、一般人である私が立つ舞台ではない。」

「一般人・・・?」


「はい。私は通りすがりの一般人。それも未成年です。」




笑顔で答えて様子をうかがう。

私の言葉に、その場の全員が困惑していた。

この隙に、冷静さを取り戻す前に、帰らなければいけない。

私の役目は終わった。

円城寺君をゴール地点まで届けた。

正直、怪我人を体に縛って自転車に乗せた時、無理だと思った。

自転車ごとジャンプする時、死ぬかもしれないと後悔した。

すべては、人情による人助け。









”人情は大事なんだぜ、凛?”








そう語ったあの方のお言葉に従うため。

12時に絶対間に合わせなければと、危険を冒した。

もう間に合わないと何度も思った。

でも、なんとか間に合った。






「私の役目は終わりました。それでは、さようなら。」





そうよ。

これで終わり。

本当は自転車を弁償してほしいけど、仕方ないから我慢しよう。

壊れたまま返却すると言う悪いこの方法を取ろう。

だって、思春期だから、多少のパンク的な行動も許されるよね?

それでおしまい。

終わり!!



・・・・・・・・・のはずだった。