彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「瑞希お兄ちゃんが・・・自分を悪いって思い続けないでよぉ・・・!」

「凛・・・・!」

「こんなの変だよ!!おかしいよ・・・!こんなに、後悔してるのに・・・どうして瑞希お兄ちゃんが反省してないとか言われなきゃダメなの!?瑞希お兄ちゃん止めたじゃんか!?しちゃダメって、伊吹陽翔さんに言ったのに!!」

「凛、それは――――――!」

「どうして瑞希お兄ちゃんばっかり、悪者にされなきゃダメなんだよっ!!」



悔しくて、悲しくて、八つ当たりのように言う。

文句を言いたい相手は瑞希お兄ちゃんじゃないのに、たまった怒りをぶつけてしまった。

それに瑞希お兄ちゃんは――――――――



「・・・・ごめんな。」

「え・・・・・?」



そう告げると、力強く私の体を抱き寄せた。




「ごめんな、凛・・・!ごめんな・・・・!」

「お兄ちゃ・・・!?」

「凛が俺のことで、苦しむことないんだ。凛は優しいから・・・俺みたいなバカな大人のために、本気で怒ってよ・・・!ごめんな・・・馬鹿は俺の方だ・・・・!」

「み、瑞希お兄ちゃん・・・・!」

「バカでごめんな、ごめんな、凛・・・・!」




何度も耳元で、ごめんな、ごめんなを繰り返す瑞希お兄ちゃん。


謝ってほしかったわけじゃない。

ただ、やめてほしかっただけ。




(伊吹陽翔を見殺しにしたって・・・自分を責め続けてほしくなかっただけなのに・・・!)


「凛・・・ごめんな、ごめんな・・・!」



(私は、逆のことをしてしまったの?自分を傷つけないでって、言いたかったのに、よけい彼を傷つけてしまった・・・・?)



「お兄ちゃん、ごめんなさい・・・!俺―――――!!」

「違う。凛は悪くないんだ・・・!凛が俺に何を言いたいのか、わかってる・・・わかってるから・・・・!」

「瑞希お兄ちゃん・・・・」





子供をあやすように語りかけてくる好きな人。

彼がどこまで、私の本心を理解してくれたのかわからない。

伝わっているかわからない。

でも、抱きしめてくれるぬくもりは、私をいやしてくれた。




(・・・・なつかしい。)




初めてであった時のことを思い出させる心地よい抱擁(ほうよう)。

あれほどひどかったイライラとムカムカが、嘘のように消えていった。