彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「瑞希お兄ちゃんのこと、人殺しだって言わないでって頼んだ時、あなたは聞いてくれましたか!?」

「凛!?」

「凛ちゃん、もしかして・・・!」

「瑞希のために仕返しを!?」


「い、いててて!だからって、鼻に指を入れるか~!!手が汚れるだろう!?」

「使い捨ての軍手つけてるからいいです!」




そう、軍手のおかげで、私の手は汚れない。




「例え鼻水がついたって構わない!」

「いやいや!これ、お前、この軍手!土臭いぞ!?使用済だろう!?」

「使い終わったら、捨てていいって瑞希お兄ちゃんが言ったもん!」

「このガキ!やりすぎなん――――――!!」

「やりすぎはお前だ!」




おじさんの言葉をさえぎる。




「やめてって言ってるのに、しつこく人殺しって、馬鹿ぁ!!馬鹿馬鹿馬鹿!!」




顔をゆがめる相手に、私は馬鹿を連発する。




「瑞希お兄ちゃんは人殺しじゃない!助けられなかったけど、一番悪いのは陽翔さんを殺した奴らだ!殺害を計画した連中だ!」

ズボッ!!


「おふ!?」




そう言って、鼻から指を抜く。

抜いた指先と、相手の鼻から透明な液体がのびて、つながっていたが気にしない。




「言うこと聞かなかった伊吹陽翔が悪い!!」



ビシッ!



「うぎゃ!?」





ピース状態で抜いた指を、相手の両目に向けてさす。

目つぶし。





「うおお!?目が!?眼もだけど、なんか、ヌルヌルして、痛った!?」




鼻水を垂らしながら、もだえるおじさん。

自分の両目を抑えたことで、おじさんの手が私から離れる。

それで体は自由になり、次の行動に移れた。

喧嘩口調で意見した。




「伊吹陽翔の末路は、完全な自己責任だよ!それなのに、なんで瑞希お兄ちゃんのせいにしたがるんだよ!?」


ベシ!


「おう!?」




目つぶしした視界に、汚れた軍手を叩きつける。





「パス!!」

「へ!?」




同時に、もう片方の手でかかえていた菊の花束を背後に投げた。

その様子をポカーンと見ていたお兄ちゃん達の方へ。




「おわ!?瑞希、瑞希!そっち行った!」

「キャッチしろ!」

「おおお!?とれた!」




烈司さんと獅子島さんのかけ声もあり、キレイなお花は瑞希お兄ちゃんがキャッチしてくれた。




(よかった。)




一瞬の出来事を、チラ見して安堵(あんど)する。

そして、瞬きする速さで視線を戻す。