石の階段を、変なおじさんと2人でのぼる。
「陽翔が瑞希に出会ったのは、あいつが14の時だ。」
「中学生の時、ですか?」
「ああ。」
そう答える中年の顔から、汗が流れる。
春とは言っても、今日の日差しは暑い。
その姿に、汗をかいている原因をなくそうと、私は口を開く。
「あの・・・やっぱり、荷物持ちます・・・元々僕のだし。」
「馬鹿。俺が持つって言ったからいいんだよ。心配しなくても、盗(と)りはしない。」
「そう言う意味じゃないですよ!」
「わかってる。」
「もぉー・・・・」
(調子が狂うな・・・)
変質者で放火魔じゃないかと思われたおじさん。
「坊主、陽翔の墓に戻るんだろう?俺も、あいつの墓に行くつもりだったから一緒に行こうぜ。」
「は、はい・・・いいですけど・・・」
「ほら、荷物貸しな。半分持ってやるから。」
「あ。」
そう言うなり、私の返事も聞かないで、お菓子やジュースを持って歩き出す。
(見た目によらず、親切・・・・?)
怖い顔のおじさんは、不審者じゃなかったみたい。
そう思う間に、1人で石段を独りで登り始めたおじさん。
「あ!?ま、待ってくださいよ!」
その後を、菊の花をふんだんに使った花束を抱えて追いかける私。
「あの・・・伊吹陽翔さんのお墓参りには、よくいらっしゃるんですか?」
なんとなく、沈黙になるのが嫌で、私から質問した。
「来れる時に来てる。毎月じゃない。」
これにおじさんは、スラスラと答えてくれた。
「おじさん、良い大人のお手本だからね~ちゃんと毎日仕事してんだよ。休みも休まず、真面目にね~」
「そ、そうですか・・・」
というか、しゃべりすぎ。
「おじさん・・・・・・・伊吹陽翔さんのご家族の方ですか?」
「そう見えるのか?」
「え!?えーと・・・瑞希お兄ちゃんのことはもちろん、伊吹陽翔さんの好きなジュースのこととかご存じだったから、そうなのかなぁ~と?」
「坊主、芸能人にプライバシーがないのはわかるか?」
「え?」
私の問いに、イエスともノーとも答えることなくおじさんは言う。


