こうやって、怒らせた恐怖のヤンキーに、静かになった電話口の相手も怯えているのだろうと思ったが・・・
〈ちーがーいーまーす!!〉
携帯から聞こえてきた声は元気が良い。
むしろ、全く百鬼さんの迫力気おされていない。
声自体は、聞き取れるが・・・
「あなた!ザザー・・・大嵐山の工・・ザッザッー・・・場跡地にいるん ザザー・・・ですよね!?」
「・・・?そうだが・・・なんだ、オメー・・・?オメーの方、電波悪くねぇーか??」
響く声にノイズがかかり始める。
これで怒りかけていた百鬼さんも怒りを沈めて聞く。
それに電話口の相手は言った。
「はい!12時に間に合いそうもないので、思い切って、決死の覚悟で―――――――――!!」
ガサガサガサ!バキッ!!!
「ダイブ中で―――――――――――――――――――――――――――す!!」
「「「「「「「ええええ!?」」」」」」」
「な、なんだと!?」
叫び声と、満月に重なる人型。
二輪車にまたがった姿。
「E.●!?スピル●ーグのE.●!!?」
某映画を彷彿とさせるシルエット。
それは迷うことなく、上から降りてきた。
「な、なんだー!?」
「あいつ!工場の駐車場に続く道から、ガードレールを飛び越えてきたのか!?」
文字通りのダイブ。
この辺りでは、バイク好きな者達が、度胸試しでよく飛んでいる。
「おお!確かに、あそこから飛んでくれば、普通に道路を通るよりも時間が短縮されるな!!」
「感心してる場合ですか、百鬼さん!?」
「ツッコんでくるぞー!!」
それは一瞬の出来事、驚く一同の前で、『そいつ』は舞い降りた。
「どーいーてぇ――――――――――――――――――!!」
チリンチリーン!
「「じ、自転車!?」」
「バイクじゃなかったのかよ――――――――――――――――――!?」
悠斗のツッコミが空しく響く。
闇夜で見まちがえていたが、あれは違う。
「自転車だ!!」
チリン、チリン、チリン♪
ベルを連ちゃんで鳴らしながら、俺達の方へと落ちてきた。
俺達というよりも・・・・
「こ、こっちにくるー!」
「よけらんねぇー!」
「しょ、庄倉さん危なっ・・・!!」
「うっぎゃああああああああ!?」
「きゃあああああああ!?」
「おおおおおおお!?」
叫ぶ羅漢のメンバーと、庄倉と、目を丸くする百鬼さん。
グシャン!!
自転車は、庄倉達羅漢のメンバーの中へと落下する。
「ぐふっ!?」
「あ。」
前輪が庄倉の胸板に直撃する。
その様子に、間の抜けた声を出す百鬼さんの前で、庄倉を引きずる形で自転車は進む。
「・・・・・・マジか?」
それを呆然と見送る百鬼さんをよそに、自転車の暴走は止まらない。
「ぎゃ!?ぎゃっうげ!」
「庄く・・・うわああ!?」
「こっちこないで・・・あう!?」
自転車は、うめき声を漏らす庄倉付きで、気もちいいほど、赤中のヤンキー達をクッションにしながら走り抜ける。
「い、痛い!やめて!とめて・・・!」
「そんなこと言って・・・あれ!?ブレーキが利かない・・・!?」
ギィィィィィイイイ!!
面白いことを言いながら、ハンドルを握る操縦者。
甲高いブレーキをンが響いた時。
ズザザザザザザーーーーーーーン!!
でこぼこの人間じゅうたんの上を、走っていた自転車は・・・
ガッシャーン!!
「わああああああ!!」
「「あ。」」
操縦者の努力もむなしく、転倒してしまった。
そのまま転がる車輪と、つぶれる庄倉と、縄でつながった人間2人転がってくる。
(なっ・・・!?)
(なんじゃこれ!?)
縄付きの2人組は、かなりゴロゴロと転がった後で、俺と悠斗の前で止まった。


