彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



お供えのお花を買いに来たわけだけど!

ただでもらってしまったのだけど!

お菓子とかももらっちゃったんだけど!




(全部抱えて逃げるのは、キツそう・・・!)




疲れるのは仕方ないとしても・・・



(お花!)




せっかく、もらった伊吹陽翔さんへのお花!



(・・・逃げる途中で台無しにしたらどうしよう・・・!?)




〔★無傷で持ち運べる自身がなかった★〕




買い直すとしても、このおじさんから逃げて、もう一度この場に戻ってこれる!?



(というか、おじさんが居座ってたら、買い直せないよー!)



あわあわと焦りながら、中年男を見る。

なぜ、こんな妖しい人が、私に話しかけてきたのかわからない。




(雑賀先生みたいに、学校に現れたのならヤクザじゃなくて先生だってわかる!でもこのおじさんは、お墓の側に現れた!髪がありすぎて、お坊さんとは思えない!)




〔★ひどい決めつけだった★〕




なにか起きる前に、行動すべき!?





「坊主・・・・もしかしてと、思ったんだが・・・」




そう考える私に、頭をかきながらおじさんは言った。




「おじさんのことを、警戒してるのかい?」

「えっ!?いや、そういうわけでは・・・」


(マズイ!敵に本心を悟られる!誤魔化さなくては!)


「そ、そんなことないです!その・・・さっき、花屋のヒロちゃんに、このあたりに不審者が出るって~」

「ヒロちゃん!?」




その言葉に、片目を上げながらおじさんは言う。



「坊や・・・・フラワーランド・福山のヒロちゃんを知ってるのかい・・・!?」

「え?そうですけど・・・」



(この人、ヒロちゃんの知り合い?)




実はいい人なの?と思いながら見れば、おじさんは鋭い目つきで聞いてきた。



「あいつと何を話した?なんか言ってたか?」

「何って、世間話と・・・この辺りは変質者が出るから気をつけ・・!?」



そこまで言って、私は声が出なくなる。






「あ!?」





目に写ったものを、反射的に指差す。



「どうした?」

「あれ!」

「あ?」



示したのは、男の近くに立っている看板。

私の視線の先を、おじさんも見る。





〔最近、変質者が出没(しゅつぼつ)しています。特徴は、背広姿の強面の大男です。ご注意ください。〇〇警察署〕





「「・・・・。」」





互いに顔を見合わせる。

嫌な沈黙が流れた。