(誰、このおじさん?)
目の前に現れたのは、知らない中年男。
(バンダナの坊やって・・・)
辺りを見渡すが、バンダナで口元を隠しているのは私しかいない。
(・・・・私のこと?)
性別はともかく、私しかいないよね?
「僕の・・・ことですか?」
「うん、君のことだよ。」
低い声が耳に届く。
なんとなく、威圧感のある声。
離れた距離にいるけど、背は高いと思う。
体つきもしっかりしている。
なにを考えているかわからない表情だけど、その顔はまるで―――――・・・
「ちょっと坊やに、頼みがあるんだけど?」
(ヤクザっぽい・・・・・・・)
笑顔がうさんくさい!
怪しい!
〔★凛は警戒態勢に入った★〕
用心する私をよそに、おじさんは近づきながら言う。
「坊や、初対面で悪いんだけど~」
ジャリ。
(う!?側に来られるのは危ない!)
スッ~・・・
男が一歩近づくたびに、1歩下がる。
「実はおじさんさ~」
ジャリ。
スッ~
男が一歩近づくたびに、また1歩下がる。
「あの~」
ジャリ。
スッ~
男が一歩近づくたびに、さらに1歩下がる。
「ちょっと、ちょっと。坊や?」
ジャリ、ジャリ。
スッ~ススス~
相手が近づくたびに、後ろへ下がる。
おじさんは、私にドンドン近づく。
距離を取りたくて、下がり続けたのだが――――
カツン!
「あ。」
靴のかかとに、石段の段差がぶつかる。
行き止まり。
というよりも、背後は石段。
〔★凛は追いつめられた★〕
(どうしよう!?後ろへ後退できないとなると~)
残る逃げ道は一つ。
(ヤバい!息切れ覚悟で、ダッシュで駆け上がるしかない!?)
〔★「下がる」から「登る」へのシフトチェンジをよぎなくされた★〕
(いつもなら、そうするけど・・・・今は、お供えのお花がある!お菓子や、ジュースも・・・!)
身軽に動けない!!
〔★原因は手に持つ食料だった★〕


