「お小遣いに困ったうちにおいで!まかない付きのバイトで雇ってあげるから!」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「はい、お花持って!家族のところへお帰り!気を利かせすぎるのもよくないからね!?それから、お参り終ったら、寄り道しないで早く帰るのよ!この辺、最近は変な人が出るからさ!ほら、催涙スプレーあげる!」
「何で持ってるんですか!?」
「それだけ、ぶっそうだからよぉ~!あとね、これもあげるわ!キムチキャンディー!」
「えっ!?いや、辛いのは僕苦手で~」
「いいじゃない。泣いてるの誤魔化せるわよ?」
「え?」
その言葉に、思わず相手の顔を凝視する。
今までとは違い、真面目な顔で私を見ている花屋のおばちゃん。
「最初に見た時、目が真っ赤だったよ、あんた?」
「そ・・・それは・・・・」
「いいんだよ、言わなくて。思春期だから、人前で泣けないこともあるんだろう?」
「おばさん・・・」
「ヒロちゃんにしとくれ!若作りしてんだからさ~」
「・・・・ごめんなさい、ヒロちゃん・・・」
「そういう時は、『ありがとう』だろう?ほら、お菓子の詰め合わせとジュースもあげるから、元気だしな!」
「うん・・・」
「蓮ちゃんも、よくよく仏さんと話して帰りな!じゃあね!」
「・・・ありがとうございます・・・!」
車に乗り込み、クラクションを鳴らすヒロちゃんに頭を下げる。
彼女は最後まで陽気に笑いながら、無人の花屋から離れていった。
後に残ったのは、彼女が残してくれたお供え用の豪華な花と・・・・
「お・・・重い・・・!」
大量のお菓子と飲み物。
(こ、これを抱えて、石段をあがるの、私!?)
そう思ったら、ありがたい重さに乾いた笑いが止まらなくなる。
「ははは・・・・タダよりも高いものはないって言うけど・・・」
〔★高いではなく、重いである★〕
(せっかく、親切にしてもらったんだもん。文句を言ったら罰が当たるよ。)
それにしても、あのおばさん・・・
“最初に見た時、目が真っ赤だったよ、あんた?”
(泣いたのがばれるぐらい、赤かったのかな・・・・?)
さっきのこと、やっぱり私が悪かったのかなと・・・・お花を見ながら思う。


