最後の仕上げに、乾いたタオルで墓石の水を拭き取る。
「これで掃除は終わりだな、凛。」
「はい、瑞希お兄ちゃん。」
多少、汚れてしまったタオルを置きながら、彼と顔を合わせる。
「陽翔も嬉しがってると思うぜ。凛に会えて、墓も、きれいさっぱりできて・・・よかったぁ~陽翔?」
そう言いながら、墓石をなでる姿。
(・・・・私を、ナデナデしてくれる時と同じ・・・・!!)
〔★凛は不穏な気持ちになっていた★〕
「やっぱり、掃除すると気分が変わるよな~凛もそう思うだろう?」
「え!?え、ええ、人として当然ですよ・・・!」
墓石を触りつつ、私へと笑みを向ける好きな人。
すごく嬉しかったけど、複雑。
〔★瑞希とは違った意味で、凛の気分も変わっている★〕
キレイになったお墓に、ご機嫌になったのは瑞希お兄ちゃんだけゃなかった。
「きゃーん!ピカピカ!はるちゃんも喜ぶわよぉ~」
「ずっとこれなかったからな・・・これで陽翔も、かんべんしてくれるだろうぜ。」
「わははははは!俺様自ら手入れしてやったんだ!喜んで当たり前だ!」
「これぐらいしかできんが、少しはあいつの気もよくなっただろう。」
それぞれが、それぞれの思いで、満足そうに墓石を見ながら話してた。
(・・・瑞希お兄ちゃんだけじゃなく、他の方々まで・・・)
伊吹陽翔がどんな人か知らないけど、はっきりわかる。
(みんな、彼が好きだったんだ・・・)
他はともかく、なによ、瑞希お兄ちゃん!
(デレっデレしちゃって!私には、あんな顔してくれないくせに~!)
〔★凛本人は気づいてないが、凛にもしている顔である★〕
じーっと、瑞希お兄ちゃん見るけど、彼は私の視線に気づかない。
私を見ることなく、墓石から手を退けると言った。
「じゃあよぉ、お供えする前に手を洗いに行こうぜ。」
「手、ですか?」
聞き返せば、やっと瑞希お兄ちゃんは私を見る。
「そうだよ。汚れた手のまま、食い物や酒を供えるのは駄目だろう?」
「それはそうですけど・・・」
「そうね~お花も買わなきゃダメだもんね~」
「〆はきちんとせねばならんからな。」
「わはははははは!!!」
「行こうぜ、凛。」
「・・・うん。」
瑞希お兄ちゃんの言葉にうなずき、彼らと一緒にお墓から離れた。


