彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


「み、瑞希お・・・」

「降りよう。」




ガシッと私の手首をつかむと、瑞希お兄ちゃんは自分側のドアを開ける。

両側スライドドアだったので、モニカちゃんが下りた方とは反対側に降りた。




ビュウウ!



「わっ・・・!?」




降りた瞬間。

一陣の強い風が吹き付ける。

反射的に目を閉じてから開く。



「ここって・・・」



広い駐車場には、まばらに車が止まってる。

何もなさそうに見えたけど――――



「あそこだ。」

「え?」



そうって瑞希お兄ちゃんが指さした場所。





(あそこって・・・・?)




「寺だ。」

「ですよね?」





指示したのは、立派な門構えのお寺。

横には看板もついている。




「けい、りょうじ・・・?」

「そうだ。『慶良寺』。ここに凛を、連れて来たかったんだ。」

「お寺にですか?」




瑞希お兄ちゃんの言葉の意味が分からず、考える。




(ピクニックに来たはずだよね?その場所がお寺って・・・ヤンキーはお寺で遠足するの?肝試しにしては、時間が早いし・・・??)




首を傾げながら、他の先輩達を見る。

みんな、黙ったまま硬い表情をしている。




「・・・?」




みんな、何でそんな顔してるの?


まぁ、お寺で明るい顔をしてる方がおかしいけど。




(だからと言って、私をお寺に連れてくるには、なにか理由が――――――?)



「・・・・・あ・・・・。」





そこまで考えて気づく。

まさか・・・・と思う。




「・・・・・・瑞希お兄ちゃん、このお寺って・・・・」




気づいたことを、聞こうとして言葉が出なくなる。

それ以上、言えなくなる。




「そうだ。」




そんな私に、力強い声で瑞希お兄ちゃんは言った。

私の代わりに言葉にしてくれた。





「慶良寺には、『龍星軍』2代目総長だった、『伊吹陽翔(いぶきはると)』が眠ってる。」

「―――――――――っ・・・・・!!」






その言葉で確信する。

瑞希お兄ちゃんがおかしかったのも。

みんなの様子がおかしくなったのも。




(お寺じゃなかった。)




私をこの場に連れて来たのは、お寺巡りとかじゃない。





(2代目総長の・・・・お墓参りが目的だったんだ・・・・!)





知らされた事実に、体がこわばる。

怖かった気持ちが、余計に沈み込んだ。