彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




モニカちゃんも変だ。

瑞希お兄ちゃんも変だったけど――――



「瑞希。」



ふいに、運転席の獅子島さんが瑞希お兄ちゃんの名前を呼ぶ。

それに合わせて、車が止まった。

正面を見れば、赤信号。



「そろそろ、着くぞ。」

「わかった。」



缶コーヒーの口を開け、中身を飲みながら言う獅子島さん。

それに瑞希お兄ちゃんは、短く返事をする。



「瑞希お兄ちゃん・・・?」



その顔が無表情になったので、不安になった。



「ね、ねぇ!もうすぐ、目的地につくんですか?」



窮屈(きゅうくつ)なシートの上で、瑞希お兄ちゃんへと向きなおしながら聞く。

これに彼は、私を見ることなくつぶやく。



「ああ、もうすぐだ。準備しとけ。」

「準備・・・?」

「お、お菓子はおしまいってことよ~!」



そう言って、モニカちゃんが手渡してくれたお菓子を私の手から、本人自ら回収する。



「凛ちゃん、おしぼり持ってきたから、これでお手てふくのよ?」

「あ・・・ありがとうございます。」



市販の紙のお手拭きを受け取り、言われた通りに手をふく。

その間に、車内に流れていた音楽が止まって、笑い声もやんだ。

急に静かになった車内。




(まるで、お葬式みたい・・・)




そう思った時、車が動き出す。

坂になっている道をどんどんのぼる。

その間、誰もしゃべらない。

チラッと振り返った後ろでは、あの百鬼さえも静かにしてる。

不気味なくらい真面目な顔で押し黙ってる。




(・・・・どこにいくんだろう・・・?)




そこでやっと、行先が気になった。




(聞かなかったけど、どこへ連れていかれるの?)




どこへ行こうとしてるの?




静かな空間で、心臓の音が体中に響く。

怖いと思った時、肩に腕を回された。