「雑談はそこまでにしろ。さっさと乗れ。」
「えらそうに言うなよ、伊織。ほら、こっちこい、凛!」
「は、はい!」
獅子島さんの言葉に、不機嫌な顔をした後で私に言う瑞希お兄ちゃん。
眼鏡へ向けたのとは違う甘い顔で私に言う。
それで、フラフラと引き寄せられる。
銀色の綺麗な車。
その真ん中のドアを瑞希お兄ちゃんが開ける。
先に乗りこ込むと、後に続く私を見ながら言った。
「凛!足元、気をつけろよ。」
「わかりました。」
少し高かったけど、乗り込む。
「これすごいんだぜ~3列すべて、ゆとりスペースなんだ!」
「え!?3列もあるの!?」
瑞希お兄ちゃんの言葉で、車内を見渡す。
意外と広い空間は、その言葉通り3列まであった。
「すごーい!ミニバンみたいですが、大勢乗れそうですね~?」
「まぁな~うちは、デカいのが一匹いるからよ。二列目も、ベンチ型のシートの方が都合がいいんだ。」
「デカいのって・・・」
「わははははは!」
恐る恐る聞けば、うるさい笑い声が響く。
見なくてもわかる。
「百鬼さん・・・」
「凛助~!!来るのが早いじゃねぇか~!?5分前行動を心がけてんのか~小僧が!!」
そう言いながら、私の後ろの3列目へと乗り込む巨人。
「2列目も3列目も・・・最低2人は乗れるんですよね、瑞希お兄ちゃん・・・?」
「そのはずなんだけどよぉ~・・・」
確かめ合う私と瑞希お兄ちゃんの目には、3列目シートに1人で座る大男の姿が映っていた。
「詰めたら、座れねぇこともねぇーけど、その役は引き受けたくないんだよなー・・・」
「同感よん!そういうわけで、凛ちゃん一緒に座りましょぅ~♪」
「えっ!?」
陽気な声と一緒に、トンと押され、何かが体に密着する。
「モニカちゃん!?」
瑞希お兄ちゃんと隣り合わせしている私の反対側に、荷物を抱えたオネェさんが乗り込んでいた。


