彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「瑞希お兄ちゃん、俺、お兄ちゃんが思う以上のニワトリになりますっ!期待してください!」

「ニワトリね・・・・どっちかって言うと、『ジャックフロスト』って呼ばれてるぞ、お前?」

「え?・・・・ゲームのキャラクターですか?」



(そういえば、そんな風に言われていたような~)




「間違っても、伊織みたいになるなよ~?『笑顔で人を凍らせる』とか・・・怖いスキルだからな~」

「え!?ジャックフロスト可愛いですよ?怖くないです!」

「ぷっ!あははは!そうだな、ジャック・フロストは、可愛い、可愛い!」




私の言葉に、大きく笑うと優しく顔つきになる。




(あ・・・・表情がよくなった・・・?)




どこか、険しい雰囲気だったのが柔らかくなった気がした。




「ほら、凛!冷める前に飲んじまえ!猫舌のお前ように、少しぬるくしてるから。」

「あ、ありがとうございます・・・!」

「ふふふ・・・・どういたしまして。」




言われるがままま、口元を覆っていたマスクをずらす。

口づけ、マグカップの中身を体に入れる。

甘くて、あたたかくて、ホッとする味。

飲みやすい温度。




「美味しい・・・」


ぷかぷかと浮いているマシュマロが、唇にあたる。

溶け出すココアに溶け出すメレンゲ菓子。

飲みながら食べよとするけど、上手くいかない。



「コラ、ズボラなことしないで、スプーン使え。」

「あ、ごめんなさい。」

「いちいち謝るなよ。」




差し出されたスプーンを受け取れば、にやりと笑われる。




(うっ!可愛い~~~~!!)




私が好きな顔をされ、心拍数が上がる。




(やっぱり、好き・・・・・)




彼が、瑞希お兄ちゃんが、真田瑞希様が!





(瑞希お兄ちゃん・・・・・・一週間前のあのこと、覚えてないのかな・・・?)





好きって言いながら、私にしたこと。

あれは、『事故』だったかもしれないけど――――――――――




「瑞希お兄ちゃん。」

「どうした?」




名を呼んで、彼を見る。

目と目が合う。




「な、なんでもないです!」

「はあ?」



(ダメ!!聞くことなんてできないっ!!)




切り出そうとして、諦める。




(だって、あの夜のこと覚えてますかって聞いて、覚えてないって言われた後の言い訳が上手くできるか、自信ないよぉ~~~~~!!)




〔★凛のヘタレが発動★〕
〔★瑞希への質問をあきらめた★〕