彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




ゆっくりと、携帯を上から下へと降ろす庄倉。

マイクを使うように、口元に携帯を寄せて口を開けた。






「もしもし、カンナちゃん?」






俺達の目の前で、余裕たっぷりに聞く庄倉。








「今どこにいるかな?」


〈知りません。〉










聞えてきたのは、聞き覚えのない声。

ざわつく周囲と引きつる俺達。






ー!もしかして、庄倉の手の者に!?ー


ー捕まったか・・・!?ー







目と目で語り合えば、カンナの携帯から声が発せられる。








〈カンナさんもですが、あなたも知りません。誰ですか?〉

「―――――――――はあっ・・・!?」


「「・・・・はあ?」」








その言葉に、俺達だけでなく、庄倉の顔も固まる。

一瞬の間を置いた後で、庄倉は咳払いして聞く。







「高千穂カンナちゃんの携帯だよな・・・!?」

〈そうですよ。〉

「お前誰だ?」

〈そう言うあなたこそ、どちら様ですか?〉






スピーカー音で大きくなった声が、意外な言葉を紡いだ。






「ど、どちら様だと!?」







驚く庄倉に、電話の主は言う。







〈そうですよ。普通、電話かけてきた方が名乗るのがマナーでしょう?名乗りなさい。〉

「マナーって・・・ええ!?」



(そりゃあ、そうだよな・・・・)



〔★正論だ★〕




電話の相手の言うことはまともだった。

しかし、庄倉の言うことがまともじゃなかった。





「お、お前誰!?雨宮じゃ・・・・」


「「雨宮?」」


「あっ・・・・!?」





その名前を聞き返す俺達に、慌てて口を閉ざす庄倉。

そんな男の動作を俺達は見逃さなかった。





「おい!カンナの携帯に電話してんのに、なんでお前のナンバー2の名前が出てくるんだよっ!?」

「馬・・・聞き違いだ長谷部!単細胞がデタラメ言ってんじゃねぇぞ!?」

「デタラメはどっちだ?それは、本当にカンナの携帯なのか・・・!?」




焦る相手に、俺は聞きながら近づく。

悠斗も、声を張り上げながらついてきた。





「カンナ!おい、カンナ!どーなってる!?聞こえるか!?つーか、カンナの携帯で話してるの誰だよお前!?誰だ、誰だ、だーれー!?」



ぎゃんぎゃん吠えながら問う悠斗。





「馬鹿!そんな聞き方あるか?そんなんで答えるわけがー」

〈高千穂カンナさんじゃないです。〉


「えっ!?答えるのかよ!?」



〔★返事が返ってきた★〕




意外にも、電話の主は答えてくれた。

それと一緒に、俺達の知らない情報をくれた。




〈この携帯は、高千穂カンナさんの物で間違いないです。無理やり貸してくれました。〉


「え!?カンナの携帯であってるの!?」

「無理やり貸しただと・・・!?」


「どうなってんだよ、おい!?」





悠斗と俺と庄倉の問いに、相手は親切に答える。







〈庄倉です。〉


「「え?」」


〈羅漢の庄倉の手下である雨宮と大場というのが高千穂カンナさんを人質にして円城寺君を襲ってきた結果・・・割愛しますが、私が彼女の携帯を借ることとなりました。〉


「割愛しすぎだろう!?カンナが人質!?大河が襲われた!?なんでお前が携帯持ってんだ!?」

「落ち着け!それだけわかれば、情報としては十分だぜ・・・・・庄倉っ!!!」






この場の全員に聞こえるように俺は叫んだ。