話は、凛が大嵐山の工場跡地に自転車で現れる少し前までさかのぼる。
かつは、工場だった場所。
現在は廃屋と化した場所。
今夜ここには、多くのヤンキーが集っていた。
「秀(しゅう)!」
「・・・悠斗(ゆうと)か?」
俺の名を小声で呼びながら近づいてくる仲間。
「大河はどうしたんだ?」
「わかんねぇ・・・大河もだが、カンナはどうなんだよ?」
「こっちもダメ!ケータイつながるけど出ないんだ、クソ!」
互いの返事に、2人同時に息を吐いた。
俺の名前は吾妻秀一(あずましゅいち)は、今年高校に入る15の男子だ。
「どうすんだよ・・・時間ねーのに!」
そう言って愚痴るのは、長谷部悠斗(はせべゆうと)
俺のツレで、いわゆるヤンキーだ。
悠斗も俺も、世間から見れば立派な不良。
中坊の頃から、他の仲間と組んで『爆裂弾(ばくれつだん)』と名乗って、喧嘩や走りをしていた。
喧嘩でもバイクでも、常に先頭切って暴れていた。
街で一番の不良になるのが、俺達の夢でもあった。
弱肉強食の世界、俺達は勝ち残っていた。
そんな俺達と、拮抗して対立していたのが・・・
「吾妻、長谷部。お前らの頭はどうした?」
「庄倉・・・・!」
そう言いながら近づいてきたのは、人の良い顔をした男。
この庄倉愛雄の率いる『羅漢』との相性は最悪だった。
不良の四天王中学と言われる俺達黒中と、同じく赤中出身の庄倉達とは犬猿の仲。
俺達を力ではなく、悪知恵と大勢の兵隊で持って卑怯な手段で消そうとしていた。
元々、俺達『爆裂弾』は1桁数のチーム。
『羅漢』はOBも含めて数百人はいる。
それでも互角にやってきた俺達は、相当根性が入ってると自負してる。
「約束の12時が着ちまうぞ?円城寺は、戦の放棄か?」
「テメー白々しいんだよっ!!」
「よせ、悠斗。」
「けど!」
「おいおい、八つ当たりするなよ~下がこれだと、上の甲斐性がわかるな~」
「誰が下っ端だ!俺らは対等なツレだ!!」
「ほお~女の子まで出動させて、まるで正義のヒーロー気取りだな~?」
庄倉の言葉で爆笑が起きる。


