その様子に息を吐いて、気を取り直してから私は言った。
「そういうわけなので、自転車壊した原因はそっちにもあるので、修理費は君が払って下さいね?」
レンタル自転車の下でうめいている人を、引っ張り出しながら告げる。
「庄倉君?」
先ほどの言葉で知った事実。
羅漢の服を着た者達から、『庄倉』と呼ばれていたこの男こそーーーー
(こいつが、こうなったすべての原因。)
「責任、取れるよね?」
「ふっ、ふざけんなぁーーー!!」
これにボロボロだった相手が、勢いよく体を起こす。
そして、真っ赤な顔で怒鳴りつけてきた。
「な、なにが責任だ!?なんで、円城寺を自転車で運んでんだよ!?ダイブしてんだよ!?むちゃくちゃしやがって!」
「・・・・・無茶は君でしょう?元赤中の庄倉君?君がした卑怯な手段に比べれば、可愛いものだと思うけど?」
「なに!?」
眉間にしわを寄せる男に、同じような顔で私は言った。
「違うの?1人で勝てないから、寄ってたかって、円城寺大河君をだまし討ちにしたんだよね?それで負けて、高千穂カンナさんも襲ったけど、1人じゃどうにもならなくて、仲間を大勢呼んで捕まえたんでしょう?」
「て、てめー・・・!」
「なに?文句があるの?おかしなところあった?じゃあ、弁解してごらんよ?」
「なんだその口の利き方!?俺を誰だとー!?」
「『小物』で有名な、羅漢の庄倉君でしょう?ほら、言いたいことあるなら言いなさいよ・・・死体に化けちゃう前に・・・!!」
自分の手を汚さないで、人を傷つける相手。
そんな奴に、利く口など決まっていた。
「言えよ、姑息で卑怯しかとりえのない庄倉さん・・・!?」
堂々とした態度で、相手の汚点を指摘する。
お前には責任があるのだと、その意味を強調して伝える。
でも、多くの場合が、それを認めない。
認められないから、論点をすり替える。
「なん・・・何なんだよお前!?意味わかんねぇ!何者だよお前!?お前誰だ!?」
取り乱しながら聞くので、素直に答えてあげた。
「あ、私ですか?私はですねー」
ニコニコ笑みを浮かべながら言った。
「ご覧の通りの一般人です。」
その言葉を最後に静まり返る周囲。
程なくして、時計の音があたりに響く。
それを受け、チラッと携帯で時間を確かめる。
12時ジャスト。
「間に合いましたね?約束の時間に。」
12時の鐘で魔法が解けたシンデレラ。
彼女は終わりの鐘だったが、こちらは違う。
今、試合開始を告げるゴングが鳴り響いた。
〔★ミッション成功だ★〕


