転がって埃だらけになった体を、ゆっくりと起こす。
「よかった・・・・!本当によかった・・・お兄ちゃんありがとう・・・!」
瑞希お兄ちゃんに感謝しつつ、声に出して生きてることを喜ぶ。
そこまで言ったところで、ハッとする。
(そうだ!円城寺君は!?)
慌てて、私と縄でつながっている男の子を見た。
さっきの衝撃を受けても、目を閉じたままで微動だにしない。
(やだ!?まさか、さっきのジャンプでどこか打った!?)
完全に、かばえたわけではない。
ただでさえ重症の彼。
彼にこそ、鎖帷子を着せてあげればよかったと後悔する。
いや、着せようとは思ったけど、骨が折れてるみたいだったから、素人が下手に固定衛て、骨が変形てくっついても困るかと思ったから・・・
(いやいや!今は、反省会してる場合じゃない!)
自分に自分でツッコミを入れて、気を取り直す。
急いで縄をほどきながら、その身を揺さぶった。
「円城寺君!円城寺君、しっかり!!」
「え、円城寺だ!?」
「あ!?大河!?」
そう呼びかければ、間近で声がした。
聞いたことのある声。
(これ!?さっきでの電話でカンナさん達を心配していた・・・)
そう確認する前に、2つの影が駆け寄って来た。
「た、大河!大河!たっちゃーん!」
「よかった・・・無事だったのか!」
(無事って・・・)
円城寺君の身を支えながら言ったのは、2人の男。
「いや、どう見ても無事じゃないでしょう?」
そのうち、背の高い男の言葉に思わずツッコんだ。
「本来ならば、病院へ連れていきたかったんですが・・・本人が大嵐山へ行くと言って聞かなくて。」
「大河が?」
「あと、カンナさんもです。」
「カンナも無事なのか!?」
背が高い男子に聞かれて答えれば、円城寺君にすがり付いていた少年が青い顔で聞く。
「カンナも大丈夫なのかよ!?」
だから、安心させるために言った。
「無事ではありますが・・・あまり無事じゃないですね。」
「「どっちだよ!?」」
「いえ・・・操は守られましたが、庄倉って奴の仲間に半裸にされて髪の毛をめちゃくちゃに切られたんですよ。顔だって、腫れあがるほど殴られて。」
「「なんだと!?」」
私の言葉に目の色を変える2人。
当然の反応だと思いながらさらに言った。
「彼女も病院へ行った方がいいと思いましたが、『大河を大嵐山に行かせるために囮になる』と言って、羅漢のメンバーのバイクを借りて走り去っていきました。」
「なんにぃぃぃぃーん!?」
「庄倉ぁ・・・・!!?」
それで、男子2人の顔が凶悪になる。
周囲はさらにうるさくなる。
怖い顔で、彼ら2人は同時に視線を私から別の人物へ移した。
(え?どこ見てるの?ん?あれは・・・・)
その先を確かめようと、同じように見て固まる。
「庄倉さん!庄倉さんしっかり!」
「だめだ!白目むいてる!」
「「うわー・・・・」」
見れば、自転車の下敷きになった男が1人。
(さっき、自転車でアタックしちゃったわけだけど・・・・!)
自転車に激突されて引きずれた上に、とどめと言わんばかりに上から自転車が落ちてきたのだ。
「これは・・・」
「哀れっつーか・・・」
「無残だぜ・・・」
そんな庄倉を見て、鬼のように怖かった2人の少年の顔も、気の毒そうなものに変わっていた。


