「凛君、大丈夫?なんだか、顔色悪いけど・・・?」
「悪くもなるわよ、涼子。喧嘩の現場を目の当たりにしたら、誰だって怖いから・・・。」
真相に気づかれないだろうかと、ガタブルと震える私に、見当違いなことを言ってくれる女子高生2人。
ガッターン!!
「え?」
「「きゃあ!?」」
そこへ、うるさい音がする。
両側から、涼子ちゃんと佐藤さんに飛びつかれる。
加えて、中の様子を見ていた男子生徒が小声で叫ぶ。
「見ろよ!尾村さんマジだぜ~!」
「悪鬼くん勝てるかな?」
「俺、尾村先輩が勝つ方に千円!」
「俺、引き分けだと思うぜ。5百円!」
「大穴ねらうなら、悪鬼君だろう~!?」
(本当に、観戦ゲームだな・・・)
その様子に、自分の学校のクラスの男子を思い出す。
なにかあると、金品を賭けるゲームをしていたことを。
(それにしても・・・・)
「喧嘩を賭け事にまで、発展させるなんて・・・・性質が悪い。」
「だから、危ないんです。」
周囲のギャラリーの反応をつぶやけば、それを涼子ちゃんが拾って返してくれた。
「危ないから、このまま帰った方がいいですよ、凛君。私が代わりに渡してあげますから・・・ね?」
優しく、私を気遣いながら言う涼子ちゃん。
「そうはいかないよ。」
そんな親切を、私は断った。
「俺が頼まれたことだから、ケジメを果たさなきゃいけない。」
「凛君・・・」
「それに、ここまで来たら、どんな奴か見てやろうって気にもなるでしょう?」
そう言ってウィンクしてから、私は一歩踏み出す。
(悪鬼だか、悪党だか知らないけど、喧嘩するなら体育館の裏ですればいいのに!それがヤンキーの定番でしょうが!?)
〔★それは誤解と偏見だった★〕


