彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



近づいてみてわかった。


(すごい人の数・・・)





1年4組の前は、集会でもしてるんじゃないかというぐらい、たくさんの人間が密集していた。

集まっている子達の顔を見る。

みんな興奮気味に教室の中へと視線を注いでいた。

かすかに、罵声も聞こえてくる。

それで確信した。





「やっぱり・・・喧嘩してるのかな?」

「そうみたいですね・・・!」





私の言葉に涼子ちゃんも同意する。

その表情は険しかった。





(『凛道蓮』の姿で、やっかいごとはごめんだけど・・・仕方ない。)





自然とこぼれるため息を飲み込み、前進した。






「すみません、ちょっと通してくださーい!」






いろいろ思うところはあったけど、行くしかない。





(お弁当、届けなきゃ。)





約束したから。

決めた以上、しなきゃダメなのが『漢』なんだって、瑞希お兄ちゃんも言ってたもんね。





「え?なんだよ?」

「すみません、用があるんです。通してください。失礼!」

「きゃあ!なによぉ~」

「押さないでよ~!?」

「ごめんなさい。通してください、通して・・・!」





断りを入れて人の間を進む。

みんな嫌な顔をしたが、制服を着てない私を渋々通してくれた。





「あれ?涼子?」

「あ、久美子ちゃん。」





そんな時だった。

野次馬の1人が涼子ちゃんの名前を呼んだ。

見れば、女の子が1人、こちらへと寄って来た。

普通タイプの生徒。





「涼子ちゃん、こちらの方は?」

「うん・・・友達で、クラスメートの佐藤久美子ちゃん。」

「じゃあ、4組の生徒・・・?」

「ちょっと、涼子。知らない人に私の名前言わないで。プライバシーもあるでしょう?」

「あ、涼子ちゃんを怒らないでください、佐藤さん。俺にわかりやすいように言っただけですし。」





怒り気味で言う相手に、これはマズイと笑顔で弁解。

顔を寄せていれば、佐藤さんは赤い顔で後ろへと後ずさりした。