彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「喧嘩するなら、周りに迷惑がかからない場所でしてほしいですよ。でも・・・あの人達はそんな感覚ないと思います。教室で戦うのだってわざとなんです。」

「わざと!?」

「ええ。きっと・・・見せるためにしてるんです。」

「見せるため・・・?」

「正確には、『見せしめ』もあるんです。負けたものへの制裁も含め・・・恥をかかせて、二度と逆らえないようにするためだと思います。」



(マジですか!?)



「そういう意味があったの!?」

「ええ。それが不良同士の戦らしいですから。」

「迷惑な合戦(かっせん)だね!?」

「あははは・・・凛君、タイミングが悪いときに、来ちゃいましたね?」

「自分でもそう思う。」





涼子ちゃんの言う通り。





(ついてないよ・・・なにこれ?)





円城寺君へのお弁当を届けに来ただけなのに、なんでタイマン現場に遭遇しなきゃダメなの!?





(マイコプラズマじゃなくて、不運が円城寺君のお母さんから感染したかもしれない・・・!)



〔★どちらにしてもついていない★〕



ただでさえ重いお弁当を、ますます重く感じながら言った。





「ねぇ、涼子ちゃん。この場合、先生を呼んだ方がいいんじゃないかな?」





生徒間のトラブルは、教師に解決させるのが一番。

そう思っての提案だったが、彼女は首を横にふりながら言う。





「あ・・・多分、無駄だと思います。きっと、他のヤンキー生徒達が、先生方を足止めしてると思いますので。」

「準備良いね、ここのヤンキー!?」





教員の介入が難しいと知らされ、どうしたものかと思う。





「・・・・参ったなぁ~」



(教室で喧嘩してるのは、1年生のボスと2年のボス。教室がリング上なら、他の生徒は外へ出されているはず・・・円城寺君が、教室内にいるとは思えない・・・)

窓の外を見れば、設置されている柱時計が目に入る。


(早くしないと、お昼休みが終わる・・・)





このままお弁当を渡せないと、円城寺君はご飯抜き。

彼、短気だから、お腹すくと不機嫌になりそうで怖いなぁ~





(なによりも・・・我が子のために、わが身の犠牲も気にせず届けようとした麗子さんの努力が無駄になっちゃう・・・)



〔★麗子は、わが身よりも赤の他人の犠牲を考えるべきである★〕




(どちらにしても、お弁当だけ渡しておかないと。)





最悪は、置いて帰ろう。


そう決めると、横で立ち尽くしている女の子に言った。