彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



制服を着た生徒の間を私服で歩く。





「ねぇねぇ、あの子なんだろう~?」

「転校生の下見―?」

「この時期にか?誰かの家族だろう?」

「なんか手に持ってるもんね。忘れ物でも届けに来たんじゃない?」


(やっぱり、注目されてるか~)





お弁当を抱えて、校内を歩くのって気まずい。

でも、円城寺君のお母さんがマイコプラズマになりながら運んできたお弁当。

私と瑞希お兄ちゃんのカフェデートを中断させてまで、運ばせようとした代物。



(さっさと渡して、ランチデートを再開しなきゃ!!)



〔★デートだと思っているのは凛だけである★〕



(えーと・・・雑賀先生が言ってた1年4組は、こっちだっけ?)



生活指導の部屋から下へと降りる。

休み時間になっているのか、生徒達がたくさん行き来してる。

みんな私を見るけど、声をかけてくることはない。

無理して会話する必要はないけど・・・・




(ヤバい・・・迷った??)




初めての校舎で、急いでいたこともあって迷ってしまった。

どうしようかと辺りを見渡していたら、正面から女の子が1人やって来た。




(大人しそう。優等生。普通な感じ。)




聞くなら、彼女しかいない。




「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」

「え?」





勇気を出して声をかければ、相手は驚いたように私を見る。

あきらかに警戒していた。

女の子の態度にしかたないと思いながら言った。





「驚かせてごめんね。君が可愛いから、ナンパしてるってわけじゃないんだ。」

「えっ?か、可愛いなんて・・・・!」





女の子はみんな、可愛いと言われて、嫌な気はしない。

少しだけ頬を染める女子に、私は話を切り出した。





「実は、1年4組の教室を探してるんだ。教えてくれないかな?」

「4組?ここから、真逆ですね・・・」


(あ~やっぱり、あそこの角を右に曲がればよかったんだ・・・)





心当たりのある間違いを思い浮かべ、反省。

やっちゃったと思っていれば、控えめに女の子が言った。








「あの・・・私、4組なので、よかったらご案内しましょうか?」

「え!?いいの?」

「はい。これから、教室に帰るところですから。」







そう言ってほほ笑む姿が天使に見えた。