彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



視線だけは、真っ直ぐ私を見つめている。

その姿に、ものすごくドキッとした。

まるで、品定めをするように凝視する。

そんな先生に何も言えなくて黙っていたら、先生の方が先に口を開いた。





「瑞希ぃ・・・・どーみても、この子は素人だよな?」

「・・・・そりゃあ、デビュー前だからな。」

「誤魔化すんじゃねぇよ。」





そっけなく言う瑞希お兄ちゃんに、呆れながら先生は言った。





「ヤンキーのガキども相手にしてる教師舐めるな!これは根っからの不良じゃねぇ!」

「え!?」





ギクッとして、思わず瑞希お兄ちゃんの方へと体を寄せる。

その動きさえ、目で追いながら雑賀先生は言う。





「どういうつもりで、普通のガキにヤンキーさせる!?オメーのしてることは、ペーパードライバーに高速走らせるようなもんだぞ?」

「凛は、普通のガキじゃねぇ。俺以上の頭になれる素質がある・・・・強い子だ。」

「そうだとしても、お前とは大違いだ!」





冷たい声で言う瑞希お兄ちゃんに反し、熱い口調で雑賀先生は言った。






「お前とこの子の違いは、鋭さがないことだ!」

「するどさ?」






思わず、雑賀先生に聞き返せば、ため息交じりに言われた。





「そうだ。ヤンキーってのは、どっか心がすれてるもんだ。まぁ、優等生って言われてる奴らの中にもどうしようもなくすり切れてる奴らもいる。けど・・・お前は違うんだよな~」

「ど、どんなふうにですか!?」

「ほら、そういう感じがだ!なんていうか~・・・!綺麗なんだよな・・・」

「え!?俺、それほど顔は良くなくて・・・」

「見た目じゃない!」

「性格も、そこまでよくはないと・・・」

「そっちでもない!なんつーかぁ~・・・!そいつが持ってる空気って言うか、雰囲気って言うか・・・匂いなんだよな~」

「におい??」

「ああ。瑞希がオイルまみれの臭いなら、オメーは大自然の中の新鮮な空気みたいな~」

「悪かったなテメー!」

「そうですよ!瑞希お兄ちゃん、良い匂いですよ!?」

「・・・『瑞希お兄ちゃん』、ねぇ・・・・」





先生の言葉に反論すれば、アゴをポリポリとかきながらつぶやく。